世界ベルト5本披露の井上尚弥がドネア父挑発に反論
井岡の4階級制覇をどう見た?
ここ3試合で驚異的なスピードの適応力を発揮しているが、ドネア戦では、磨きがかかってきたリング上でのその能力が再度、試されることになる。 両陣営が語るように、やるか、やられるかのKO必至の試合になるだろう。ドネアの全盛期ならまだしも、ここ数戦の年齢的な劣化を考慮すれば、井上の4試合連続の2ラウンド以内決着のインパクトが再現されそうではある。ただ、そういう期待が、力みやプレッシャーに変わるというリスクもある。 ドネア戦を乗り越えても、まだバンタム級にはテテが持つWBOのベルトが残る。 「まだテテもいる。決勝後もバンタムで続けるとなると、そういった選手とやっていくことになると思う。結果を出しても次に強敵が生まれる。その相手にどう勝つか。格闘技でないと味わえない戦い。強敵に向かって準備して戦うだけ」 その先には、ドーピング問題や体重超過問題を繰り返し、日本人が最も嫌っていて、現在、国内では事実上の永久追放処分となっている元WBC同級王者、ルイス・ネリ(メキシコ)もいる。 井上の“ベルトコレクター活動”に終わりはない。 19日には、井岡一翔(30、Reason大貴)が劇的TKO勝利でWBO世界スーパーフライ級王座に就き、日本人初の4階級制覇に成功した。 「見ました。刺激にはなりますよ。階級近いですしね。井岡さんだけに限らず、誰も意識しないことはない」 井上には4階級制覇となるスーパーバンタム級への転級だけでなく、そのもう一つ上のフェザー級での日本人初となる5階級制覇への可能性もある。 だが、井上は「(転級は)タイミング。別に日本人初の記録を目指しているわけではない。実力を発揮できる階級でやり続けて上が適正ならそこへ行くが、、記録を作りたいからやるわけじゃない。この5本のベルトにしても、結果的にこうなっただけで狙ったわけじゃないですからね」と持論を展開した。 そして「強さに満足していない、まだまだ底が見えない。自分でもどこまでいけるか楽しみ。そこをモチベーションにしています」とも語る。 これが井上の進化が止まらない理由だろう。 18日から練習を再開。ボクシング以外の仕事は「制御している」という。 「今は浮かれていい時期かなとも思うんですが(笑)。今は、ボクシングに興味ない人が振り向いてくれているという実感がある。ボクシングにもっと光を当てないといけないので」 だからこそ「いつも通り」を見失わないように心掛けている。 「パウンド・フォー・パウンド4位(リング誌が制定している階級がないと仮定しての最強ランキング)という評価を落とさないようにしたいし、いつも通り平常心で試合に向けてしっかりと準備します。準備した結果、いつも通りの結果が出せると信じている」 7月末には3日間の走り込み合宿が予定されている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)