大阪の戌年回顧 大阪万博開催 関空・ATCが完成
1994:関空・ATCがオープン
1994年(平成6)4月、大阪南港に大規模複合商業施設アジアトレードセンター(ATC)がオープン。9月には関西国際空港が開港。長い助走期間を経て、ビッグプロジェクトが達成された。当時、行政担当記者として、プロジェクトの進行を追っていた。 ATC建設にかける大阪市幹部らの思いは強かった。アジアの時代到来を視野に入れ、関空と連携した一大国際貿易センターを大阪再生のエンジン役にという計画だ。いささか大風呂敷かとも受け取れたが、幹部自身がアジアへトップセールスに出向き、大阪への進出を呼び掛けた。 帰国直後に声をかけると、「関空や大阪への関心は高い。しかし、すでに欧米との取引が始まっている。セーターなどの繊維製品は欧米向けにインチの寸法で製造しているから、急に生産ラインをインチからセンチに変えるわけにはいかんという。少し出遅れたようだが、必ず巻き返してみせる」と意気込んでいた。開業直後、海に沈む夕日の新名所となり、カップルが押し掛けた光景が懐かしい。 関空の空港島の建設が始まると、ある管理者は工事関係者の食事の調達に頭を悩ませていた。連絡橋ができていない段階の空港島に、大量の食事をどのようにして安定して運び込むか。海に浮かぶ巨大空港の建設工事だけに、いろんな苦労があるものだと思った。空港関連施設を手掛けるゼネコン関係者は「開港したら孫と一緒に飛行機に乗り、空からあの空港はおじいちゃんが作ったんやと自慢したい」と夢を語った。 大阪場所の優勝者は横綱曙。前後の場所は貴乃花だった。セ・リーグの首位は巨人で阪神は5位に終わった。パ・リーグは西武が優勝。オリックス、近鉄はおよばなかったが、首位打者イチロー(オリックス)、ホームラン王ブライアント(近鉄)、打点王石井(近鉄)と、打の三部門は関西勢が占めた。
2006年:今里筋線開通
2006年(平成18)12月、大阪市営地下鉄今里線が開通。車体のラインカラーのオレンジ色は、地下鉄の中では市内のもっとも東側を南北に走っているため、生駒山から昇る朝日の色とされている。 新しい戌年がご来光のようにワンダフルな1年になることを期待したい。(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)