埼玉文学賞、3人正賞 小説部門は葭谷さん「層を読む」、短歌部門は黒沢さん「細き首」、俳句部門は福嶋さん「手をつなぐ」
埼玉新聞社が制定し、埼玉りそな銀行が特別協賛する「彩の国 埼玉りそな銀行 第55回埼玉文学賞」の受賞者が決まった。正賞には、小説部門で草加市の葭谷隼人さん(30)の「層を読む」、短歌部門で鴻巣市の黒沢梓さん(67)=筆名=の「細き首」、俳句部門で上尾市の福嶋すず菜さん(59)=筆名=の「手をつなぐ」が選ばれた。詩部門は正賞の該当作がなく、準賞を2人選んだ。 短歌部門・黒沢さん、俳句部門・福嶋さんの写真 小説、短歌、俳句、詩部門の佳作紹介【写真3枚】
「層を読む」は、部下を亡くしたことをきっかけに小説を読むことができなくなった元プログラマーの元に主人公が通い、「老人と海」を朗読する場面から始まる。「言葉」をテーマに現代を描いた小説。「細き首」は同居する未婚の30代の長女との日常と、母の複雑な思いを詠んだ20首。「手をつなぐ」は若い女性を作中の主人公として日常を詠んだ俳句だ。 詩部門の準賞には、千葉県柏市の渡会三男さん(74)=筆名=の「おいでおいで」と、所沢市の四宮明美さん(80)=筆名=「花みずき」が選ばれた。そのほか、各部門で佳作を選出した。 正賞の賞金は小説部門が100万円、その他の部門は30万円(準賞はその半額)。授賞式は7日、さいたま市内のホテルで行われる。第55回埼玉文学賞の募集期間は5月1日~8月31日。4部門の応募総数は796点で、過去4番目に多かった。