オドーア加入で大激戦! 巨人復活のカギ握る「外野レギュラーバトル」
話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、新外国人の加入でますます激戦となった、巨人の外野レギュラー争いにまつわるエピソードを紹介する。
―– 「助っ人で取ったわけだからね。『小細工はいらない』とは言うし、『ホームランか三振でいいよ』と言ってあげたほうがいいかな」 ~『東スポWEB』2024年1月25日配信記事 より(巨人・阿部慎之助監督のコメント) ―– 1月22日、球団から正式に獲得が発表された巨人の新外国人、ルーグネッド・オドーア選手(29歳、前パドレス)。メジャーでは通算178本塁打を記録し、シーズン30本塁打以上を3度もマーク。待望の大砲獲得で、2年連続Bクラスからの脱却と4年ぶりの優勝を目指す阿部慎之助新監督もさぞホッとしたことでしょう。 25日、ジャイアンツ球場を訪れた阿部監督はオドーアの起用法について、クリーンアップではなく6番か7番に置いて気楽に打たせる、という可能性も示しました。冒頭のコメントは「とにかく“助っ人”らしく、大きいのを狙ってくれ」という意図が見えます。気になるポジションについて、メジャーでは内野手登録で主にセカンドを守っていましたが、巨人は外野手として登録。おそらくライトを守ることになるでしょう。 これでますます激しくなったのが、外野のポジション争いです。昨年(2023年)11月、秋季キャンプ中の宮崎で、阿部監督はこう語っています。 ―– 『外野はほぼ空いているようなもんだからさ。みんなで競争してもらいたい』 ~『スポニチアネックス』2023年11月14日配信記事 より ―– つまり「外野のポジション争いは横一線。誰がレギュラーを張るかは競争させて決める」という方針を明言しています。オドーアは余程のことがない限り開幕から使うでしょうから、残り2枠、レフトとセンターのレギュラーをめぐって、キャンプインからオープン戦終了まで熾烈な競争が演じられることになりそうです。現時点では誰が有力なのか、候補を見ていきましょう。 レフトは、ベテラン・丸佳浩(34歳)と、昨シーズン(2023年)ついにブレイクした秋広優人(21歳)の争いになりそうです。2018年オフに広島からFA移籍し、2019年・2020年のリーグ連覇に大きく貢献した丸。しかし移籍5年目の昨シーズンは、守備の負担を減らすためセンターからライトへコンバートされたにもかかわらず、121試合出場、打率.244、18本塁打、47打点と3部門とも移籍後ワーストの成績に。11年ぶりに規定打席に届かず、2013年以来10年連続で記録していた“シーズン100安打以上”も94安打で途切れてしまいました。 4月に35歳の誕生日を迎える今季はレギュラーが確約されていない厳しい状況ですが、“原点回帰”で打撃フォームを昔のスタイルに戻すことに決めました。広島時代の2016年に採り入れた、手を上下に動かしてタイミングを取る“ヒッチ打法”です。 2015年、丸は打率.249と低迷しましたが、2016年からヒッチ打法に変えたところ、打率は.291に向上。この年から始まった広島のリーグ3連覇に貢献しました。10日、ジャイアンツ球場で自主トレを報道陣に公開した丸は、ヒッチ打法への変更についてこう語っています。 ―– 『この打ち方にしてから試行錯誤はありましたけど、16年に変えた時はどうだったかなと思い出しながらやっていきたい』 『日本一になった時にレギュラーとして喜べるようにしたい。今は非常にワクワクしています』 ~『スポーツ報知』2024年1月11日配信記事 より ―– 一方、こちらも負けてはいられないのが秋広です。高卒3年目の昨シーズンは自己最多の121試合に出場。規定打席にはわずか4打席足りませんでしたが、打率.273、10本塁打、41打点をマーク。5月下旬からは約3ヵ月にわたってクリーンアップに定着し、3番・5番を務めました。さすがにバテたのか、シーズン終盤にスタメンから外れましたが、チームに欠かせない戦力であることは間違いありません。 しかし今年(2024年)は、新年早々阿部監督から厳しい“お小言”をもらうことになりました。20日、春季キャンプのメンバー振り分けを発表した際、阿部監督は秋広についてこう語っています。 ―– 『最初は3軍にしようかなと思ったんだけど。ちょっと遅刻が2回くらいあったみたいなので。(11月のNPB)アワードの時も遅刻して球団行事も遅刻してるんで。誰か特大目覚まし時計でも買ってあげて。遅刻するって一番信頼失うからね』 ~『スポーツ報知』2024年1月20日配信記事 より ―– 野球以外の部分、しかも社会人としていちばん大切な「時間を守る」ということを2度も怠ってしまった秋広。さすがに阿部監督も3軍スタートにはしませんでしたが、報道陣の前で名指しでこういう話をしたのは「レギュラーを獲った気でいたら大間違いだぞ。浮かれてないでビシッとしろ!」という秋広への“警告”です。裏返すと、期待の表れでもありますが。