オートポリスは不思議なことが起こる。Q1 B組だけタイム悪化の怪……原因は“風”か?|スーパーフォーミュラ第2戦
九州・大分県のオートポリスで開催されているスーパーフォーミュラ第2戦。5月18日(土)にはその予選が行なわれたが、セッションを終えたドライバーたちが一様に首を傾げていたのが、そのタイムの推移だった。 【リザルト】スーパーフォーミュラ第2戦オートポリス:予選結果 モータースポーツにおいては通常、走行ラインにタイヤのゴム(ラバー)が付着してグリップが増すため、サーキットをマシンが走れば走るほどタイムが向上していくのがセオリーだ。スーパーフォーミュラではQ1 A組→Q1 B組→Q2という順でセッションが進むが、基本的には後ろのセッションほどタイムが上がる傾向にある。 しかし今回のオートポリス戦は違った。Q1 A組のトップタイムは太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の1分27秒445で、Q2進出“カットライン”にあたる6番手のタイムは大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)の1分27秒838だった。しかしその後に行なわれたB組では、トップタイムが牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の1分27秒871、6番手タイムが笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)の1分28秒532と、全体的に悪化したのだ。なおQ2ではポールタイムが1分26秒台に入るなど、通常通りのインプルーブを見せていた。 「すごくグリップしなかったですね」 そう振り返ったのは、Q1 B組で5番手に入った野尻智紀(TEAM MUGEN)。野尻は当時のマシンのフィーリングについて、まるで浮いているような感覚で、上に上がろうとするような力を感じていたという。そのため、自身のアタックを終えた時は「(Q1で)落ちた」と思っていたと苦笑した。 そんな野尻のフィードバックを聞いて、チームメイトである岩佐歩夢も驚いたという。 「見ている側も正直びっくりしました。Q1 B組のラップタイムの出方を見てQ2へのアジャストをしようとしていましたが、そのタイムが想定外すぎたので結構困ってしまいました」(岩佐) 予選3番手に入った山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)も、Q1 B組を走ったひとり。彼はB組のタイムが落ちた要因について、風が影響していた可能性もあると指摘。次のように語った。 「Q1 B組が全然ダメだった中で、Q2では今まで通りタイムが上がりましたよね。路面のコンディションは間違いなく上がっていると思いますが、下がる要因としては、風がけっこう強かったりしたので、そういったモノの影響も少なからずあったのかもしれません」 山本と同じく、風の影響があったのではないかと指摘したのは、TEAM MUGENで岩佐を担当する小池智彦エンジニア。曰くホームストレート方面に向かい風の突風が吹いていたとのことで、突風を正面から受けた車両は車高が下がりすぎてしまいマシンがボトミングしてしまうのだと説明した。 「B組の時には突風が吹いていて、その影響があったのかなと個人的には思っています」 「ストレートに対して向かい風でした。(車両に突風が当たると)車高が下がってしまうので、ボトミングしてしまいます。しかもオートポリスの1コーナーはかなりうねっていて、跳ねるポイントなんです」 また小池エンジニアはオートポリスの路面について「なぜか路面(コンディション)が上がってくるイメージがあまりないんですよね、基本的に……。毎年なぜかタイムアップしていく感じがあまりなくて」と語る。トップエンジニアでも解明できていない謎が存在するあたり、オートポリスは不思議なサーキットと言えるかもしれない……。
戎井健一郎
【関連記事】
- ■いざ、開幕戦のリベンジへ……岩佐歩夢が堂々ポールポジション。2番手以下にコンマ3秒の差つける|スーパーフォーミュラ第2戦オートポリス
- ■F2王者プルシェールが急遽離脱となったTEAM IMPUL、星野一樹監督は前を向く「バーニコートにもすごく期待している。開幕戦のリベンジを」
- ■スーパーフォーミュラ2戦目を迎えるJuju。チームとの連携向上のため、開幕戦途中から父・野田英樹氏のサポートも拡大傾向
- ■岩佐歩夢、オートポリス驚速PPの裏側。ベースはローソン時代のセッティング……鍵となるタイヤマネジメントは“バーレーンの経験”で乗り切る?
- ■復活の山本尚貴、2戦連続の好位置から決勝レースへ。“暑さ”を苦手としていたNAKAJIMA RACINGにも光明か?「良い材料は揃ったと思う」