壁の引き上げ額、落とし所は「150万円」か 意外な世論調査結果 宮沢税調会長が「123万円」案、協議決裂なら予算は通らない
【ニュース裏表 平井文夫】 週末にメディア各社が行った世論調査の結果を見比べると、有権者が政治に何を求めているのかよく分かる。 【写真】祖父が宮澤喜一元首相で元外交官の米国人父を持つ宮澤エマ 「103万円の壁」の引き上げについてはほぼ賛成。また、政党支持率で国民民主党が立憲民主党を抜き去って野党第1党になった。ここまでは予想通りだ。 しかし、FNN(フジニュースネットワーク)と産経新聞の調査では、内閣支持率と自民党の支持率も上がっているのに、読売新聞の調査では下がっている。朝日新聞と毎日新聞は横ばい。 これは有権者の意見が割れているということだろう。国民民主党の減税策を「自民党がともに推進している」ととらえるか、「妨害している」ととらえているかだ。 自公与党と国民民主党の幹事長が11日、「178万円を目指して来年から引き上げる」ことで合意し、12日に国民民主党も賛成して補正予算案が衆院を通過した。ここまでは良かった。 ところが、翌13日の3党の税制調査会長の協議で、自民党の宮沢洋一会長がわずか20万円だけを引き上げて123万円とする案を提示、しかも記者団に「誠意を見せたつもりだ」と発言した。その後、協議は決裂した。 どうも自民党税調は、国民民主党の言う通りに減税するのが嫌なようだ。だが、自公は少数与党で国民民主党の言うことを聞かないと予算も法律も通らないのだから、石破茂首相は178万円の丸飲みも辞さないようにも見える。果たしてどっちなのか。 これについて、FNN・産経が、いい質問をしている。103万円の壁をどこまで上げるのが適切か「額」を示して聞いたのだ。 答えは意外なことに「150万円」が32・6%でトップだった。私がトップだろうと思った「178万円」は22・4%で3位。「120万円」が27・5%で2位だった。 有権者は無責任に「今すぐ178万円にしろ」と言っているわけではない。確かに、読売新聞の調査でも「財源を考慮して引き上げ幅を決めるべき」が66%と高かった。 つまり与党は宮沢氏の言う123万円では話にならないが、150万円くらいを落とし所に国民民主党と協議すればいいということになる。