「辰野町だけなんですか!」役場担当者も驚き 記者が調べたら「辰」の字をもつ自治体は全国で1件だけだった
来年2024年の干支は「辰」。長野県には、この辰の字が付く「辰野町」がある。総務省の市町村コード表を基に記者が調べると、全国の自治体名で辰の字があるのは辰野町だけと分かった。そんな貴重な名を持つ辰野町。12年に1度の辰年に向け、さぞ盛り上がっているだろうと思い役場に電話したが、担当者は「辰野町だけなんですか!」と驚きの声。辰野町の辰ネタを調べてみると、町内を流れる天竜川にまつわる竜の伝承が残る“辰づくし”の町だった。(中島瑞穂) ここにも「辰」が! 「辰」の字が使われている辰野町の町章
ホタルが舞い、日本の中心にある「真ん中町」
辰野町は長野県のほぼ中央部にあり、人口は1万8千人余。ホタルが乱舞する松尾峡が観光名所で、毎年6月の「信州辰野ほたる祭り」の期間中には人口を超える観光客が訪れる。また、北緯36度と東経138度が00分00秒で交わる「日本中心のゼロポイント」がある町として注目を集めており、「真ん中町」とPRした町おこしを図っている。
町教育委員会によると、地名のはっきりとした起源は定かではない。角川日本地名大辞典によると、鎌倉時代から南北朝時代にかけて「辰野牧」の名が使われ始めた。辰野町誌は、辰野の名が確認できる最も古い資料は南北朝時代の1367(貞治6)年としている。
また、辰野町の資料には、辰野町内を流れる天竜川にまつわる伝承が掲載されている。その伝承によると、「昔辰野は天竜川がせき止められてできた湖で、この湖には一匹の龍が住んでいた。あるとき大雨が降って湖が氾濫し、天竜川をせき止めていた荒神山の東西を切り崩して湖の水がなくなってしまった。その後竜は天に昇ってしまい、辰野と呼ばれるようになった」という。
記者が市町村名の調査に使ったのは、総務省がインターネットで公開している市町村コードのエクセル表だ。全国の市町村ごとに割り振られた6桁の数字や市町村名などが記されており、表のデータを辰の字で検索すると辰野町のみを検出した。念のために総務省にも確認し、「その方法なら間違いない」とのお墨付きをもらった。