全国にあった「辰」が付く自治体

　もちろん、辰の字を使った地名は全国各地にある。かつては辰野町以外にも辰が付く自治体はあった。しかし、いずれも市町村合併に伴い消滅している。石川県にあった「辰口町」は1956（昭和31）年に三つの村が合併して誕生。しかし、2005年に周辺2町と合併して能美市に。三重県には「辰水村」があった。1889（明治22）年に誕生し、1954（昭和29）年に二つの村と合併して美里村になり、2006年に津市に合併。奈良県にあったのは「辰市村」。1889（明治22年）年に誕生し、1955（昭和30）年に奈良市に合併した。

　こうして辰が付く自治体は辰野町だけになった。辰野町は町名にあやかって、辰年には「辰」にまつわる催しや企画を実施している。前回の2000年には、町民の思い出を詰めたタイムカプセルを埋めた。来年のプロジェクトのアイデアは職員が出し合っている最中だが、武居保男町長は、新型コロナやインフルエンザの流行、物価高騰などの課題を挙げて「想像力を発揮して、明るい未来を信じ、夢と希望を持って力強く辰年を歩みたい」と話した。辰の字を全国で唯一持つ辰野町が、辰年に昇竜の勢いで活性化することを期待したい。