芥川賞・小野正嗣氏「『土地』が小説を書いた」
第152回芥川賞・直木賞が15日夜、発表され、芥川賞は小野正嗣氏の「九年前の祈り」、直木賞は西加奈子氏の「サラバ!」が受賞した。その後、都内のホテルで両氏が受賞の喜びを語った。 【動画】第152回「芥川賞・直木賞」決定 受賞者2人が会見
小野氏は、受賞作は作風が変わったのではとの質問に「自分で前衛と考えたことはない。作品の内容が要請する文体がある。今回はあのような平易な文体を要請していたと思う」と答えた。 故郷の大分を書いたという今作について、「小説は土地に根ざしたもの。世界の文学も土地と人間を描いている。非常に個別の世界を描くことが普遍的なものにつながる。小説は僕が書いたかもしれないが、土地が小説を書いたと思う。(亡くなった)兄が僕を後押しした」と語った。 小野氏という船はこれからどこに向かうか、の質問には「もうすぐ沈没すると思う。だいたいどこに行くかよく分からないが拿捕されないようにしたい」と笑わせた。