「企業で考えたらとんでもない!」【裏金脱税】キックバック議員「逮捕が逃れられないこれだけの訳」
政治資金規正法違反(虚偽記載)ではすでに、パーティー収入の一部を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、安倍派と二階派の会計責任者が在宅起訴されている。 「政倫審に出席した事務総長経験者たちは皆、会計責任者がやったことで自分は会計に関与していないと言っていましたが、会計責任者は単なる職責上の名義人。収益が帰属するのは、政治団体の実質的な主宰者です。本来は派閥のトップですから、二階派なら会長の二階(俊博)さん、安倍派であれば事務総長が責任を取る立場にあります」 ◆不記載があった議員85人の「裏金への課税額」は約1億3500万円 脱税にあたるのは法人税だけではない。当然、所得税も対象だ。 「裏金は全額、雑所得として課税対象になります。雑所得は収入金額から必要経費を引いて計算するのですが、たとえばサラリーマンが原稿料をもらったとしましょう。その原稿を書くために参考書を買えば、それは必要経費になります。政治家は歳費を得ていて、しかも今回はそっくり裏金を懐に入れたわけですから、必要経費はゼロ。キックバックを受けた全額に所得税と住民税が課されます。 この場合の課税額は、所得税と住民税を合わせて所得の大体30%。これに法人税と同じように重加算税と延滞税が課されるので、追徴課税はキックバックを受けた金額の少なくとも50から60%の額になるでしょうね」 全国商工団体連合会が、’18~’22年の政治資金収支報告書に不記載のあった85人が追徴された場合の税額を浦野税理士の見解を基に試算しているが、それによると裏金総額は5億7949万円、裏金への課税額は約1億3500万円に上る。そのうち追徴税額が最も多いのは二階元幹事長で1000万円以上。安倍派5人衆で衆院政倫審に唯一出席しなかった萩生田光一前政調会長は750万円以上だ。 「今回はあまり問題視されていませんが、消費税も課されます。興行業で儲けている事業者なわけだから、消費税の納税義務者になるんです」 インボイス制度によって消費税の納付を強いられることになった小規模事業者や個人事業主からすれば、確定申告がバカらしくもなるだろう。 萩生田氏は5年間で計2728万円の裏金を受け取っておきながら、収支報告書を訂正してもなお「支出の目的」や「金額」などの欄に「不明」と記載していた。個人事業主が「不明」だらけの青色申告決算書や収支内訳書を提出するとどうなるか。 「税務署が認めるはずもありませんね。私たちが『不明』と書いて提出すれば、追加の税金を徴収されます」 国民は確定申告書に不備があれば調査される。政治家は多額のキックバックを受け、収支報告書にでたらめな記載をしても、税金を支払わずに済んでいる。