“レジェンド”山本昌氏がセ・リーグ新監督の采配を途中採点!
采配の評価が高いのは巨人の高橋監督だ。 「非常にオーソドックスな采配をしている。“ジャイアンツ”の風土を引き継ぐ戦略だ。新人監督とは思えぬほど落ち着いている。彼の育ちの良さが出ている。とにかく、セオリー率が高い。局面、局面で、セオリーというものは変わっていくが、その局面でのセオリーが何かを理解している。先発陣の中からマイコラスが開幕前に離脱したが、今村ら実績のない若手をローテーションに入れ、打線ではクルーズの故障抹消が痛いが、ここにも片岡を使うなど冷静に対処している。ドタバタと騒がない。 4番に置くギャレットが、一回りする中で、各球団に対策をされて打率が急降下している。だが、一塁に関しては、故障でファームスタートとなった阿部がいるので余裕がある。本来は目立つ監督だが、目立たないようにしている。そこが素晴らしい」 坂本が離脱した5試合を除き、打線はほぼ固定。ギャレットの打率が2割前半まで落ちても我慢して4番に起用するなど大きくは動かない。原監督時代に、何十通りの打線変更をしていたのとは対象的だ。試合の序盤ではバントを多用するなど戦略は確かに手堅い。 また投手陣の方では、5年目の今村、3年目の平良、ブルペン陣では、5年目の田原、4年目の公文を起用するなど、冷静に戦力を見極めて、若手であろうが、躊躇せず抜擢している。 最下位に苦しむ横浜DeNAのラミレス監督に関しては「セは、どのチームも主力の故障者に悩んでいるが、最もダメージを受けているのが、横浜DeNA」という。 「ラミレス監督は我慢の采配が続いている。梶谷に続き、4番の筒香まで離脱してしまったのだから例え誰が監督でも厳しい戦いとなるだろう。その中でもルーキーを積極的に使い、ピッチャーの交代もひとふん張りして、見切りをワンテンポ我慢している。ここはペナントレースの長丁場を考えると評価すべき継投だろう。ただ、我慢と固執は違う。打線で言えば、新外国人のロマックの起用に固執しすぎたように思える。しかも打てないロマックを打線の急所に置いたため、本来は武器であるはずの打線がつながらなくなった」 山本昌氏が、その象徴の試合としたのが、4月5日のナゴヤドームでの中日戦。横浜DeNAは、9安打しながらも13残塁で完封負けを喫している。 「中日の先発の若松は、決して調子はよくなかったが、調子も含め、打てる選手、打てない選手が交互に並んでいたため、打線がつながらず点が取れなかった。6番のロマックは2三振のノーヒットでブレーキになった」 では、今後のセ・リーグの展望を山本昌氏は、どう見ているのか。 「セの混戦が続くのは間違いない。どのチームもギリギリで戦っている。首位の広島もルナがいないし、マエケンの穴を埋めるピッチャーは、まだみつかっていない。中日も大野に続き、高橋周平まで怪我をしてしまった。ヤクルトも4番を打っていた畠山がいない。主力を怪我で欠く状況をどう耐えるか、故障者がいつチームに戻ってくるか。それ次第でペナントの動きが変わるだろう。チームの課題を消すチーム。すなわち、さらなる怪我人を出さないチームが勝ち残ると見ている」