高校生の思いが結実!戦争の悲惨さを語り継ぐ「なごや平和の日」が歩み出す
特攻隊に散った竜の投手
バンテリンドームの歴史も含めて、戦争と平和というテーマは、そんなドラゴンズと縁も深い。中継ぎで活躍する藤嶋健人投手や、将来の4番と期待される石川昂弥選手ら、東邦高校出身の選手もいる。また、ドラゴンズの前身である名古屋軍には石丸進一という投手がいた。球団史上2人目となるノーヒットノーランも記録して、1943年(昭和18年)には20勝投手となったが、軍に召集されて、終戦の年に特攻隊員として旅立ち、22歳の若さで帰らぬ人となっている。5月25日は、いつも球音響くグラウンドが平和への願いに包まれる。
増えている「平和の日」
全国的にも、名古屋市の「平和の日」のような日を定めている自治体は増えている。この内、最も古い歴史があるのは沖縄県。沖縄戦が終結した6月23日を「慰霊の日」に定めた。まだ本土に復帰する前の1961年(昭和36年)のことだった。名古屋と同じ終戦の年に大空襲があって、10万人もの犠牲者が出た東京都も、3月10日を「慰霊の日」と定めている。東海地方でも岐阜県の各務原市が、空襲での被害が最も大きかった6月22日を「平和の日」としている。こうした制定は、ここ10年ほどの間に増えてきているという。世界的には、国連が定めた9月21日の「国際平和デー」がある。紛争をストップし世界中で平和に思いをはせる日だが、残念ながら、ウクライナ、そして中東での争いは今も続いていて、平和への道は険しい。
高校生が考える平和の意義
今回の名古屋市の「なごや平和の日」が、全国的にも画期的なのは、高校生たちの活動が実を結んだということである。戦争を経験した年配の人たちからの"一方通行"ではなく、若い世代が、過去の歴史に歩み寄ろうとしていることに価値がある。空襲を経験した男性と東邦高校の生徒たちの座談会が、名古屋市の『広報なごや』5月号に掲載されているが、その中に、こんな言葉があった… 「自分たちに何ができるかを考えて行動することが、平和そのものなのではないか」。 今年からスタートした「なごや平和の日」。試行錯誤もあると思うが、平和な未来に向けて、力強く歩みを続けることを願ってやまない。 【東西南北論説風(492) by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
CBCテレビ