2024年「辰年」の岸田政権はどうなる!? 「竜」にまつわる言葉で展望する
2024年は辰年。「辰」は伝説の生き物「竜」のこと。空を飛び、雲を呼んで雨を降らせる力があるとされ、古来より畏敬の念とともに強者の象徴として語られてきた「竜」。そんな「竜」にまつわる「故事」とともに、2024年の岸田政権を展望する。
■「竜の逆鱗に触れた!?」 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、政権最大の危機が到来
「逆鱗」(げきりん)は、竜の顎の下にある「決して触れてはいけない」逆さに生えた鱗(うろこ)のこと。触れてしまうと普段は穏やかな竜が怒り、危害を及ぼすという。転じて「竜の逆鱗に触れる」は「目上のものに逆らって怒りを買うこと」の意味で使われる言葉だ。 自民党派閥のパーティーをめぐる一連の問題は、組織的な「裏金」疑惑が報じられた安倍派だけでなく、二階派、岸田派でも報じられ、政権にとって最大の危機をもたらしている。 NNNと読売新聞の世論調査では、G7広島サミットが行われた5月に56%だった内閣支持率は、12月には25%まで下がり、政権発足以来、最低の水準となっている。また、政党別の支持率を見ても、自民党の支持率は5月の38%から、12月には28%まで、10ポイント下落した。 疑惑は政権の中枢だった松野官房長官ら安倍派幹部を直撃。岸田首相は12月、安倍派に所属する4人の閣僚と5人の副大臣らを交代させる異例の人事に踏み切った。だが、この人事は党内最大派閥で99人の国会議員が所属する安倍派の「逆鱗」に触れることになった。 辞表を提出した安倍派のある議員は「すべての派閥を調べてからやるべきなのに安倍派だけを切った。岸田政権を支える気はない」と述べ、岸田首相の対応に不満を漏らした。また、同じく辞表を提出した別の議員は「これはないだろう」と述べ、首相の“安倍派切り”に怒りをあらわにした。 他の派閥に所属する議員からは「安倍派が一番大きな問題を起こしているのだから、責任をとるのは当たり前だ」と、首相の対応を擁護する声も聞かれるが、党内最大派閥が岸田首相に“不満”を持った状態では、政権の基盤は大きく揺らぐことになる。 首相に近い自民党議員は「派閥の政治資金の問題は、岸田政権にとどめをさす可能性がある」と危機感を示した。逆風の中、岸田政権は「政治とカネ」の問題で、国民の信頼を回復できるのか。岸田政権の2024年は、視界不良のままスタートを切ることになる。