2024年「辰年」の岸田政権はどうなる!? 「竜」にまつわる言葉で展望する
■「伏竜」の出現は? 9月に予定される自民党総裁選…岸田首相の再選はどうなる
「伏竜」は、池の中に潜み天に昇る機会をうかがっている竜のこと。転じて、大きな才能を秘めながら、まだ世に知られていない人物のたとえ。三国志で有名な軍師「諸葛孔明」の異名としても知られる言葉だ。 岸田首相にとって2024年の最大の目標の1つは、9月の自民党総裁選挙で再選を果たすこと。首相の側近議員からは「支持率が下がっても、党内にかわる人物はいない」と強気の声もあがるが、再選を阻む「伏竜」が出現するかがポイントとなる。 総裁選では過去にも「伏竜」が度々出現した。2001年の総裁選では、当初、橋本龍太郎元首相が議員票でリードし「本命」と見られていたが、「変人」と呼ばれた小泉純一郎氏が、当時の森内閣の支持率低迷を背景に「自民党をぶっ壊す」などと演説し“小泉旋風”を巻き起こして圧勝。自民党の「伏竜」となった。 また、2021年の総裁選では、前年の総裁選で敗れ「終わった人」と言われた岸田首相が「国民の声を聞く力」を掲げ出馬。知名度が高く、当時の菅首相の支持も受けた河野太郎氏に勝利。国民にとっては「知名度が低かった」岸田首相自身が「伏竜」となったのだ。 現在「ポスト岸田」には茂木幹事長や河野デジタル相らの名前があがっている。またNNNの世論調査で次の自民党総裁にふさわしい人をたずねたところ、石破元幹事長(20%)、小泉元環境相(17%)、河野デジタル相(12%)、菅前首相(8%)、高市経済安全保障相(7%)らが、岸田首相(4%)のポイントを上回っていて「簡単に勝てる総裁選ではない」との声もあがっている。 内閣支持率が低迷し続ければ「岸田首相のままでは次の選挙を戦えない」という声は高まり、「岸田下ろし」の動きが本格化するだろう。党内から、今挙がっている候補以外の「伏竜」が現れ、岸田首相の再選をはばむ可能性もある。
■「竜虎相うつ」展開となるか 衆議院の解散総選挙はいつ?
竜虎相うつとは「竜」と「虎」のように、実力伯仲した強者同士が戦うこと。 2024年の岸田首相にとって、大きな決断を迫られるのが「衆議院解散」をするかどうかだ。現在、衆議院議員は任期まで2年を切り、自民党内には解散総選挙は「いつあってもおかしくない」という声も出ている。 2012年に自民党が政権を奪取してから、国政選挙では長く「自民一強」状態が続いている。しかし、ある立憲幹部は「パー券問題で安倍派が崩壊し、自民党はガタガタだ。次の選挙は状況によっては政権交代も狙える」と話す。野党は今の岸田政権の窮地を見て、久しぶりに「竜虎相うつ」戦いに持ち込みたいと意気込んでいる。 岸田首相は、そもそも「解散カード」を切れるのか?実は、周辺によると岸田首相は2023年の通常国会の会期末である6月と年末に衆議院の解散を模索。しかし、そのときの情勢などを鑑みて、いずれも断念した。その後、支持率が下落したことで、党内からは「首相はこのまま解散できずに退陣することになるのではないか」との声すら出ている。 岸田首相が2024年に解散総選挙を行う場合、首相周辺が「理想的」だと語るタイミングは通常国会の閉会後の7月頃だ。9月には総裁選が予定されるが、直前の衆院選で勝利すれば、総裁選を事実上の無投票で乗り切れる可能性が出てくるからだ。 ほかにも、党内からは、1月の通常国会の開会前や、3月の来年度予算案の成立後などがささやかれるが、どのパターンでも低支持率のままでは解散しづらく、首相の決断は容易ではない。 ただ「解散できない首相」のままだと求心力が低下し、政権を維持できなくなるのは確実だ。それだけに首相は2024年に「解散」を決断できるような環境を作れるか。政権発足以来の「正念場」を迎えている。