⚽22年を客観「やり切った」 長谷部誠さん引退会見【一問一答あり】
「自分を常に客観視していた」。今季限りで現役を引退し、24日に都内で記者会見をしたサッカー元日本代表主将の長谷部誠さん(40)=藤枝東高出=。自身の能力と22年間にわたる選手生活を客観的に照らし合わせ、自信を持って「やり切った」という答えを出した。 高卒後、2002年から6年間所属したJ1浦和ではアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)などを数々のタイトルを獲得。08年から海外挑戦の場に選んだドイツでは引退まで第一線で活躍した。それでも「何か抜きんでたものがあるわけではない。もう一度同じキャリアを積める気がしない」と謙遜する。 日本代表では歴代最多の81試合で主将を務め、ワールドカップ(W杯)は南アフリカ大会から3大会連続出場。18年ロシア大会で代表を引退するまでの約10年間は「クラブと代表の両立に非常に苦しんだが、人として一番成長できた」。 会見では故郷への思いにも触れた。「自分の根底には静岡で培われたものがある。静岡に対して自分にできることがあればうれしい」と地元への貢献を約束。プレー面以外も含め、恩師から受けた指導を思い返し、「愛情と熱意を持って教えてもらった。戦術だけではなく、人間性に影響を与えられる指導にもトライしたい」と後進育成に向けて意気込んだ。 ■「高いレベルでやれる監督目指す」 引退会見を開いた長谷部誠さんの主な一問一答は次の通り。 ―引退を決断したタイミングは。 「時間をかけ、自分の中で3月下旬くらいに正式に決めた。妻に最初に伝え、両親にもすぐに言った」 ―正しいタイミングだったと考えるか。 「実際はまだプレーできる自信があるが、次のステップに進む時期だと思う。正しいタイミングかどうかはこれから先の未来が決める」 ―三浦知良選手にも引退を報告した。 「ポルトガルに会いに行った。カズさんには一番言いづらかった」 ―思い描く指導者像は。 「ヨーロッパにいればたくさんの素晴らしい指導者に出会う。多くの監督のやり方をこれから学んでいきたい」 ―日本代表の監督を目指すか。 「これまでのキャリアもそうだが、一つ一つ目の前の目標をクリアしてここまで来られた。まずは経験をしっかり積んで、高いレベルでやれる監督になりたい」 ―日本代表がワールドカップ(W杯)でベスト8への壁を越えるには何が必要か。 「今までよりも、ここからの段階の方が難しい領域。選手も成長しているが、指導者、メディア、ファンと、日本のサッカーに関わる全ての人のレベルアップが必要」 ―後進の選手に伝えたいことは。 「道は自分で切り開くしかない。難しい時期でも自分ではい上がっていかないと通用しない世界。とにかくもがき、積み上げた先に大きなものが見えてくる」 ―静岡で培ったことが発揮された場面は。 「粘り強さや歯を食いしばって頑張るところ。厳しいトレーニングを受け、育ててもらったという感謝の気持ちが強い。素晴らしい指導者との出会いが自分のサッカー人生を変えてくれた」 ―現在の静岡のサッカーへの思いは。 「全国で結果が出なくなってきているが、日本全体のレベルが上がってきている証拠。いろいろな意味で喜ばしいことだと思う」
静岡新聞社