久保建英を生かしたベテランの存在感。森保Jは勝ち点「2」で終えたコパ・アメリカで何を得たのか?
逃した魚は大きかった。コパ・アメリカのグループステージ最終戦。勝てば、次の相手は開催国のブラジルだった。本気のブラジルと対戦する機会なんて滅多にあるものではない。しかも、エクアドル戦は勝つチャンスが十分あったのだ。あまりにもったいない。 スコアは1-1。この結果、森保ジャパンは2分1敗で大会を去ることになった。 もっとも、大会前は、ここまで善戦するとは、ちょっと想像できなかった。 コパ・アメリカは南米勢がプライドを懸けて真剣勝負を繰り広げる伝統的な大会だ。20年前に招待参加したトルシエジャパンは、10人のボリビアに引き分けるのがやっとで、ペルー、パラグアイには叩きのめされた。 ましてや今回は、22歳以下のメンバーに5人のオーバーエイジを加えた若いチームで参加しているのだ。3戦全敗すら予想された。 ところがどうだろう。初戦こそチリに0-4と大敗したが、2戦目には優勝候補のウルグアイと2-2のドロー。エクアドル戦も互角以上に渡り合い、1-1の引き分けに終わったのだ。 試合で生じた課題をトレーニングで修正し、再び試合に臨む様子は、まさに「マッチ-トレーニング-マッチ」のサイクル。とりわけ大会期間中に自信を膨らませ、成長を遂げた若い選手たちについて、ベテランGK川島永嗣は称賛した。 「これだけの戦いができた。内容を見れば正直、本当に若い選手たちを褒めたいと思います」
久保「持っているものは出せた」
なかでも、このレベルでも十分通用することを証明したのが2列目のふたり、久保建英と三好康児だろう。ふたりはいずれも、敵陣のスペースに巧みに潜り込み、パスを引き出して仕掛けるタイプ。 「このチームには自信を持って仕掛ける選手が多い。代表のイメージが変わってきた」と岡崎慎司は目を細めたが、彼らとオーバーエイジの中島翔哉が絡んだ攻撃は常にゴールを目指し、相手を混乱させた。そのワクワク感は昨年9月、森保ジャパンの初陣のコスタリカ戦と似たものがあった。 エクアドル戦後、「楽しかったですし、今持っているものは出せたかなと思います」と久保が言えば、三好も「まだまだ足りないという気持ちが強いけど、自信を持てた部分もある」と語った。悔しさを滲ませながらも、手応えを掴んだ様子がうかがえた。 ただし、彼らの活躍の影にオーバーエイジの奔走があったことも見逃せない。 「個の能力は上がっているし、自分の好きなところでやる能力はズバ抜けている。でも、その土俵で相手が主導権を握ったときに耐えられなかったらズルズル行ってしまう」 そう語ったのは、岡崎だ。今大会では2列目に限らず、板倉滉や岩田智輝、上田綺世らが自身のストロングポイントを発揮したが、彼らがプレーしやすい状況を作っていたのが、年長者たちだった。岡崎や柴崎岳がどれだけ守備で奔走し、マークを引きつけ、サポートしたか。 「彼らがこうした舞台でバチバチやれるようにコーディネートするのも自分の役割だった」と柴崎は話したが、それは彼自身にとっても新たな挑戦だった。