『ブギウギ』スズ子の人生も新しいステージへ? 近年の朝ドラの“年またぎ”を振り返る
新たな出会いを予感させた『カムカムエヴリバディ』
祖母・母・娘の親子3世代を描いた、『カムカムエヴリバディ』の2021年末の放送では、2代目ヒロインのるい(深津絵里)が、弁護士の卵・片桐(風間俊介)から映画に誘われ、生まれて初めてのデートを楽しむが、苦い結果に終わってしまう。るいの額にある傷を見た片桐が動揺したため、るいは傷ついてデートを切り上げ、その場を去ったのだ。 その後、るいはジャズ喫茶に入るが、るいが働いているクリーニング店を訪れる「宇宙人」と密かに名付けた謎の客(オダギリジョー)が「大月錠一郎」という名であることが判明し、その店でトランペットを吹いているのを目撃する。そんなちょっと楽しげな展開で年またぎになり、予告では、るいが錠一郎から、ルイ・アームストロングの愛称にちなんで「サッチモちゃん」と呼ばれていたり、ベリー(市川実日子)やトミー(早乙女太一)といった新キャラクターの姿が観られるシーンも。るいの新しい出会いに明るさを見出せる、ワクワクするような年またぎだった。
大阪から京都へと舞台が移った『おちょやん』
2020年の『おちょやん』は、新型コロナウイルス感染症の影響で変則的に11月30日から放送開始となり、第20話で年またぎとなったが、12月28日に本来の時間帯で、スピンオフミニドラマと共にこれまでの放送を振り返る特番『連続テレビ小説「おちょやん」よいお年を!』が放送された。 第20話では、思いがけず天海一座の舞台に上がった千代(杉咲花)から溢れ出した感情と言葉が、座長の息子・一平(成田凌)や客の心を動かすことに。千代は父・テルヲ(トータス松本)のせいで借金取りに追われるも、大阪・道頓堀から脱出し、新天地・京都を目指すところで年またぎを迎えた。年明けからスタートする京都編で、女優への道を歩み始める千代への期待感が膨らむ、素敵な年またぎとなった。
“喜美子”戸田恵梨香が悲しみから立ち直った『スカーレット』
『スカーレット』の2019年末の放送では、喜美子(戸田恵梨香)は、かつて入学がかなわなかった美術学校の講師で世界的芸術家・ジョージ富士川(西川貴教)と再会を果たす。夫・八郎(松下洸平)の計らいでジョージが現れた時、喜美子は言葉を失うが、ジョージに自分が抱いていた夢を懸命に語る。 親友の照子(大島優子)たちも参加して、ジョージによる即興の創作実演が行われると、ジョージから刺激と影響を受けた喜美子は、ついに土をこね始める。父・常治(北村一輝)が亡くなって以来、喜美子は悲しみを抑え込んでいたが、ようやく解放されたように皿を作り上げた。喜美子が新しい一歩を踏み出したと感じさせる年またぎとなり、年明けは4年後からが描かれる展開に。 朝ドラの年またぎは、ヒロインが新たな段階へと向かう局面を描く、期待に満ちた年内最終話となることが多く、『舞いあがれ!』のような“クリフハンガー”は異色だったと言える。果たして、『ブギウギ』はどのような年またぎとなるのだろうか。
清水久美子