「部品・製造業にも影響」…世界の自動車業界で構造調整ドミノ、韓国も構造改編への備え必要(2)
その結果、欧米の電気自動車は価格や性能の面でいずれも商品性が劣った。この時に出たのが中国政府の補助金を基に成長したBYDなど中国の電気自動車メーカーだ。BYDは電気自動車の核心部品であるバッテリー原料を中国内で調達し、バッテリーも直接生産して原価競争力をより高めた。価格競争力を基に中国の電気自動車は欧州、東南アジア、南米などで販売地域を勢い良く拡張している。 米国が中国製電気自動車に最大関税を102.5%、欧州連合(EU)が45.3%まで賦課するなどいまになって収拾に乗り出したが、もう中国の電気自動車の疾走を防ぐのは難しくなった。ここにフォルクスワーゲン、BMW、メルセデス・ベンツなどが中国で現地企業と合弁会社を設立して事業を展開しているだけに、ドイツは中国阻止に積極的に出ることもできない状況だ。 ここに「トランプ変数」も予告されている。トランプ次期米大統領が就任する場合、米国外で製造された車と部品などに対する制裁がさらに強まるだろうとの見方が出ている。欧州製自動車に対する関税引き上げも予想される状況で、ドイツの自動車生態系は追加打撃が避けられない。 ◇「韓国の部品企業も世界に進出しなければ」 問題は韓国も「製造業崩壊」の安全地帯ではないという点だ。自動車・部品業界は世界的に不確実性が大きくなっただけに当分は流動資産を確保しようとする雰囲気だ。ただ最近好実績を出した現代(ヒョンデ)自動車・起亜(キア)はひとまず人材を拡大することに労使が合意した状況だ。現代自動車は2026年までに生産職1100人、起亜は来年まで500人を採用することで労組と合意した。 専門家らは正確な診断を通じて構造改編に備えなければならないと助言する。カトリック大学経営学科のキム・ギチャン名誉教授(韓国自動車産業学会副会長)は「人工知能(AI)などの発達で産業全体の労働需要が減る状況で、自動車メーカーも構造調整の時期を迎えることになった。米国と欧州は状況が少し異なるが、米国はテスラなど新しい企業が現れ世代交代が起きたことで、ドイツは自動車産業を中国に依存して革新できなくて、製造業が崩壊した」と指摘した。 韓国信用評価によると、現代自動車・起亜の営業利益率は2019年の3%台から昨年はそれぞれ9.3%と11.63%に上昇した。これに対し、韓国の部品メーカーの平均営業利益率は依然として3%前後と多少低く維持されている。このため現代自動車・起亜への依存度が高い自動車部品メーカーが世界市場で競争力を確保してこそ自動車産業の変化に柔軟に対応できるだろうという指摘が出る。自動車融合技術院のイ・ハング院長は「トランプ新政権の関税政策により韓国の自動車業界だけでなく、部品メーカーまで打撃を受けなければならない」として韓国の自動車部品メーカーの海外市場進出拡大の必要性を強調した。