トランプ氏再登板、ウクライナ避難民支援者「住人は米国の支援減少がロシアの進軍を助長することを懸念」
米国が次の4年間の新たなリーダーに選んだのは、復権を目指した共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)だった。民主党のカマラ・ハリス副大統領(60)を退け、勝利宣言した。日本の被爆者団体、北朝鮮による拉致被害者家族らからは、懸念や期待の声が上がった。 【写真】2回目の米朝首脳会談に臨むトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(2019年2月27日、ハノイで)=ロイター
「大統領在任中に核実験を行うなど、常に核兵器への懸念が消えなかった。『核なき世界』の実現が遠のいてしまうかもしれない」。ノーベル平和賞に選ばれた被爆者団体の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」代表委員の箕牧智之さん(82)(広島県)は不安視する。
今回選でトランプ氏は、イスラエルによるイランの核施設攻撃を容認する考えを示した。同じ代表委員で、長崎原爆被災者協議会(被災協)の田中重光会長(84)(長崎県)は米国と向き合う日本政府に「唯一の被爆国として、再び核兵器が使われないよう力を発揮してほしい」と求めた。
トランプ氏はウクライナへの軍事支援に消極的な姿勢を示している。避難民を支援する大分県別府市のNPO法人「Beautiful World」の小野ヤーナ理事長(42)は「ウクライナの前線の住人は、支援の減少がロシアの進軍を助長することを懸念している」と語った。
台湾有事が懸念される中、南西諸島防衛のあり方にも注目が集まる。沖縄県の保守県政時代に基地対策を担った又吉進・元知事公室長(68)は「中国の脅威が増す安全保障の観点において、米軍基地が置かれた沖縄の地理的な役割や貢献をどう認識しているかが気になる。沖縄に関わる問題にどのように取り組むのか注目したい」と話した。
一方、拉致被害者家族らは手腕に期待を寄せる。トランプ氏は2018~19年、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との直接会談に臨み、日本人拉致問題に言及して解決を迫った経緯がある。
有本恵子さん(拉致当時23歳)の姉、尚子さん(66)によると、トランプ氏は17年、東京都内で父・明弘さん(96)ら拉致被害者家族と面会した後、「あなたのために全力を尽くす」と記した手紙をくれたという。尚子さんは「すごく優しい人柄を感じた。問題を解決するためにも、強い米国になってほしい」と語った。