修復間に合い遺徳しのぶ 利謙の墓元通り、参列者安堵 富山・長岡御廟で前田家墓所祭
富山藩初代藩主前田利次の命日に当たる8日、富山市八ケ山の長岡公園墓地で墓所祭が営まれた。能登半島地震で倒壊していた8代利謙(としのり)の墓が修復され、長岡御廟(ごびょう)保存会関係者は墓所祭に間に合ったことに安堵(あんど)し、前田家の遺徳をしのんだ。 【写真】修復された藩主の墓=7月 公園内に、初代から12代藩主利聲(としたか)公までの墓所があり、墓は西群と北群の2区画に分かれている。墓所祭は利謙の墓がある西群で、元に戻った墓の近くで営まれた。於保多(おおた)神社の武田邦浩宮司が祝詞を奏上し、保存会の山田岩男会長ら参列者が玉串をささげた。 式典後に参列者が利謙の墓を訪れた。富山藩前田家第16代当主の前田章利さんは、修復後の墓を初めて見たとし、「保存会や業者の尽力をいただき大変ありがたい」と話した。山田会長は「灯籠は時間をかけて戻していくしかないが、今後大きな地震が来ないよう祈る」と述べた。曹洞宗真国寺では追善法要が営まれた。 利謙の墓は複数の石を積み重ねて作られており、高さは約3メートル。地震で石が崩れ、土を盛った土台の下まで落下した。維持管理に当たる長岡御廟保存会が寄付を募り、石材業者を手配して6月に墓石を積み上げて戻した。御廟内にある藩主の家臣が奉納した灯籠約500基のうち153基も倒壊しており、約20基は修復された。完全復旧には相当な時間がかかるとみられる。