「有名ウェブサイト運営会社」に起こる異常事態の連続…「詐欺で50億円を失った」事件のゆくえ
ポンジスキームに引っかかり
高配当につられて投資を続けていたら実は詐欺で約50億円を失ってしまった――。 こんな“間抜け”な事件の被害者として名を売ったオウケイウェイヴ(名証ネクスト・東京都渋谷区)が、今度はインサイダー事件に揺れている。 【写真】斡旋業者が明かす「海外出稼ぎ女子」を誘う衝撃の「募集要項」 「オウケイウェイヴが運用利益分も含めて約50億円が取立不能になったとホームページでIR(投資家向け広報)したのは22年4月19日だったのですが、その情報を会社関係者から事前に入手した金融関係者が株を売り抜けて利益を得たんです。1年ほど前から証取委(証券取引等監視委員会)が調査を続け、それを受けた(東京地検)特捜部が摘発準備を進めています」(検察関係者) 事件を整理してみよう。 日本最大級のQ&Aサイトを運営するオウケイウェイヴは、業態を変えながら次のステップを目指す作業を続けており、その過程で21年6月、中核事業を約71億円で売却。その資金を「つなぎ運用」していたところ、託していた金融業者「Raging Bull(RB)」の事実上の経営破たんにより、「49億3300万円が取立不能」と発表したのである。 RB社の代表は、インド人金融業者のスニール・ジー・サドワニ氏。「IPO(新規公開株)の特別枠があるので確実に儲かります」というセールストークでオウケイウェイヴなど多くの投資家から資金を集めながら、実は「特別枠」などなく、入金された資金を他の投資家の支払いに充てるという自転車操業。破たん確実な「ポンジスキーム」と呼ばれる詐欺商法である。
「スピンドル」の関係者も
当然のことながらオウケイウェイヴなど複数の被害者が警視庁に刑事告訴した。だが、動きは鈍い。 「最初のうちは『資料を出してくれ』『説明してくれ』という連絡がありましたが、最近、警察から連絡もないし捜査している様子もない。スニールがインドに逃げているという情報もあり、『立件は可能でも、主犯が海外逃亡で逮捕できない』と、諦めているんじゃないでしょうか」(告訴した被害者) こうした事件で必ずぶつかる「海外のカベ」だ。捜査権限が及ばず、コストパフォーマンスも悪いということで警察は経済事犯が海外に逃げたら、ほぼ諦める。 今回の事件は、証取委が22年4月19日の発表前のおかしな株の動きに注目して発覚した。同社関係者によれば、福田道夫社長(当時)や野崎正徳取締役(同)などは、発表後の動揺を避けようと事前に資本調達の道を探っていたという。その情報が漏れて「売り」につながった。 一連の動きに詳しい金融関係者が説明する。 「いきなり71億円もの余資が生まれたことで、RBのポンジスキームだけじゃなく、おかしな投資に手を染めていたのは確かです。21年12月、OKファンドを立ち上げて、国内外のコンテンツに投資するという触れ込みで13億円が用意されました。その管理者は、かつてタレントのGACKTが絡んだ仮想通貨スピンドルで悪名を馳せた人物。そんな“札付き”が群がっていました」