同学年・藤井聡太21歳から「タイトル奪取あるのでは?」伊藤匠の才能をA級棋士・中村太地が語る「“寝て起きたら強くなる”時期に2人は…」
「寝て起きたら強くなる」伸び盛りに2人は…
その中でも伊藤七段は中終盤の力を磨きながら、さらには一番棋力が伸びる時期と言える10代後半から20代前半に充実した日々を送っている。もちろん藤井叡王も同じくなのですが、大きな経験値となるのは間違いありません。 年齢的にこの時期は、棋士にとって伸び盛りと言って過言ではありません。 私自身も奨励会時代の最後の方から棋士1、2年目がそれくらいの年齢だったのですが、1局指すごとに……いや、大げさに言えば「寝て起きたらちょっとずつ強くなっている」、今日よりも明日という手応えはすごく感じていました。 その上で2人はタイトル戦という舞台で大きな経験を手にしている。もちろん1人の棋士として彼らに食い下がらねば、という闘志も同時に燃えるのですが。
藤井vs伊藤、運命の最終局はどうなる?
前編も含めて藤井将棋、伊藤将棋の妙味を語ってきましたが、いよいよ叡王戦第5局が始まります。 タイトル戦においては最も持ち時間が短いため(チェスクロックで各4時間)、まず注目ポイントとなるのは先手後手を決める振り駒、序盤でどちらが主導権を握るか。そして後々の時間節約のために研究合戦でどちらが上回るかという点になるかと思います。 将棋では先手が少しだけ有利――さらにはご存じの通り、藤井叡王は先手番で非常に強い――なのですが、現代将棋では「作戦を選択する権利」が後手番にあるんです。だからその辺りが振り駒によってどう影響を及ぼすかというところが、まず1つの注目となります。 そして過去の対局を見ると、藤井叡王は中盤から終盤の入り口で圧倒してそのまま勝ち切る。一方で伊藤七段の勝ちパターンとしては終盤まで互角でいって競り合って勝つことが多い。とはいえ藤井叡王はこれまで、昨期王座戦を筆頭に逆転の一手を放つ技もある……ということで、一手一手すべてが見逃せません。 21歳同士による八冠堅持か叡王奪取かの大一番、ぜひ、ご注目を。 <第1回からつづく>
(「進取の将棋」中村太地 = 文)
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