これほどまでに温かいドラマがあっただろうか…『放課後カルテ』 最終話で思わず頬を緩めたシーンとは? 考察レビュー
牧野自身が劇的な変化
そうした子供の変化以上に、ある意味劇的だったのが牧野自身の変化。大人になると、変わるのは簡単ではない。しかも、牧野のように良くも悪くも一本芯の通っている人間はなおさらだ。 しかし、子供たちとの触れ合いや、篠谷先生(森川葵)との会話を通じ、牧野は少しずつ子供たちに対する対応は何が適切か覚えていった。言葉遣いから表情、接し方まで単なる医師であればそこまで意識する必要のなかったことにも注意を払い、改善していく。 だからこそ、最後に6年生からプレゼントされたメッセージと手形のスタンプが添えられた画用紙を見て、「大きくなったんだな」とつぶやく姿は温かく、心にぐっと響く。 ドラマを見ていて気付いたのが親子で視聴している人が少なくなかったということ。当事者として楽しむことができながら、同時に学べることがあったのだろう。 子供目線で見れば、時には人に迷惑をかけることを恐れず誰かに頼ることも大事ということがわかるし、親目線で見れば牧野のようにしっかりと向き合い、時には柔軟に姿勢を変える重要性も理解できる。このドラマを見ているとそんな温かなメッセージも伝わってくるようで、明日からの世界が少し、でも確実に優しくなる気がした。 【著者プロフィール:まっつ】 1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
まっつ