投票率を上げる方法はあるか 小切手や宝くじなども一案だ、不在者投票制度の有効活用も スマホ投票は海外でも例なく…まだ時間がかかる
【日本の解き方】 衆院選の期日前投票が行われているが、投票率を上げるためには、ほかにどんな施策が考えられるだろうか。 【表でみる】夕刊フジが作成した「落選危機にある大物・著名候補21人のリスト」 日本では18歳になると、選挙権が与えられる。現在海外では「18歳以上」が主流だ。世界の191の国・地域のうち、9割近くが日本の衆議院に当たる下院の選挙権年齢を「18歳以上」と定めており、例えば、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリアでも18歳以上となっている。 一方、日本では投票に行かなくても法令に違反するものではなく、この意味で義務ではない。しかし、世界の国では、投票が義務化されている国も少なくない。例えば、イタリア、メキシコなどでは罰則はないが法令違反、オーストリア、ギリシャ、シンガポール、ベルギー、ルクセンブルクなどでは罰則ありの法令違反となっている。投票を義務化すれば、投票率は高まるだろう。 いずれにしても、投票に行くのは面倒だという人に行かせるには、このようにペナルティーを与えるか、逆にインセンティブ(動機)を与えること、投票の敷居を低くすることが投票率を高める方法だ。 これは、投票したときに報奨金や景品を出すやり方が分かりやすい。実際にこうした国もある。 日本は現在、投票券を投票所に出して投票するが、投票後に投票者を持参人とする「政府小切手」を振り出せば、投票者に一定額の報奨金を出すことになる。仮に1000円とすれば、日本の有権者は約1億人なので、そのための財政支出は約1000億円になる。 今回の衆院選でも各党がいろいろな経済政策を出しており、減税や給付金を提唱している党もあるので、この程度の財政支出は問題ないだろう。ちなみに、今回の衆院選では、公費が約600億円なので、この点からも1000億円は大きな財政支出ではない。 もし財政支出を抑えたいなら、報奨金を宝くじ方式として、持参人払いの宝くじ券を交付すればいい。一等1000万円で全国で100人としても10億円ですむ。 こうした報奨金方式のほか、投票の敷居を低くするものとして、スマートフォンで投票を完結させる方法もあり得る。ただし、スマホ投票では、投票に必須な①本人確認②秘密投票③自由意思―の3つを担保することができないので、海外でも例がないようだ。