定番の富士山ではなく…銭湯専門の女性絵師が描いた地元のシンボル「御嶽山」 大浴場リニューアルの目玉に
銭湯ペンキ絵師・田中みずきさん: 「手前と奥をもうちょっと連ねて、山が連なっている感じを出さなきゃいけなかったな。細かい山の形を直さなきゃと」
ペンキが渇くのを待って調整しながら細部を描いていきます。白や緑のペンキを入れると徐々に奥行きが生まれました。 見学に来た支配人は―。 木曽駒高原 森のホテル・有本勇次支配人: 「かなり感動していますね。もうこれ完成じゃない?って思ったんですけど、まだまだってことらしいので完成が楽しみです」
田中さんは、事前にイメージ図も用意しますが、その通りに描くわけではありません。 実は当初、御嶽山を左サイドに描く予定でしたが、手側に窓があることなどを踏まえ、当日になって逆にしました。 銭湯ペンキ絵師・田中みずきさん: 「もしかすると窓の側には背の高いモチーフがない方がいいのかなと。構図はその場で変えられます」
緑の自然の中に、茶色の太い線で「枝」を描き、薄いピンクを重ねていきます。 桜です。 テーマは木曽の四季。
反対側には、大イチョウを描きました。
続いて描いたのは、地域で愛される木曽馬です。大胆で迷いがありません。 銭湯ペンキ絵師・田中みずきさん: 「勢いで描き進めていかないと絵がうまくなじんでいかないということがあるので、迷わずにとりあえず描いてみる」 2頭の木曽馬が仲良くー。
今度はスマホの写真を見ながら、町の史跡「岩華観音」に取り掛かります。 当初はお堂だけを描く予定でしたが前日に現地を確認、点在する「馬頭観音」も表現することにしました。
銭湯ペンキ絵師・田中みずきさん: 「一つ一つを見ながら登っていくのが楽しかったりしたので、これは、岩山を描いてその上にお堂がなければ岩華観音の良さが出ないのでは、と思って急きょ変えました」
木曽の風景をこだわって描き、色を重ねること7時間半ー。 ついに背景画の完成です。 桜の木々で春を、茂るみどりと正沢川で夏を表現。そして秋の大イチョウに冬の御嶽山。 銭湯ペンキ絵師・田中みずきさん: 「いろんな峰が連なっているので、特徴が捉えられているか、とても迷いました。最後の最後まで粘って書いて、自分の中では納得できる絵が描けたかな」