呉市のうまい返礼品 全国が注目 ふるさと納税件数、広島県内最多
希少部位のローストビーフや昔懐かしいバタークリームのケーキ…。広島県呉市の食品が「ふるさと納税」の人気の返礼品となり、全国でファンを増やしている。同市へのふるさと納税の寄付は2023年度、5万件に迫り県内23市町で最多だった。市は認知度アップにつながると期待を寄せる。 フライパンで肉塊の表面を焼いてから作るジャムキチフーズのローストビーフ 返礼品の中で最も選ばれたのが食品加工などのジャムキチフーズ(光町)のローストビーフだ。世界的に牛肉が不足し価格が高騰する中、「ザブトン」と呼ばれる希少部位がお得に食べられると紹介サイトなどで評判になり、申し込みは約3万件に上った。 同社は欧州産の牛肉を安定的に確保。肉塊をフライパンで焼いて肉汁を閉じ込めた後に、オーブンで蒸し焼きするのが特徴だ。梶勇二郎社長(57)は「しっとりとして食べ応えたっぷり。ローストビーフと言えば呉と言われたい」と意気込む。 高田水産(阿賀南)の冷凍カキ「情の雫」は夏もよく出る。十数年前に冷凍設備を導入し1、2年目は失敗したが、凍らせ方を研究し、年中、生に近いうまさを楽しめるようにした。高田浩明社長(46)は「ふるさと納税を通じて全国に知ってもらえた」と喜ぶ。 「まさかこんなに人気が出るとは」と驚くのはケーキ工房山崎屋(西畑町)の山崎洋さん(70)。妻陽子さん(60)と作るバタークリームケーキの申し込みが増え、リピーターも多い。返礼品で店を知った人が、呉に来た際に来店することもある。 同市へのふるさと納税(返礼品の伴わない寄付も含む)は23年度、県内最多の4万9918件に上った。寄付額も約7億7700万円で大竹市(約9億8700万円)に次いで多かった。地場産品の提供事業者の開拓に力を入れる呉市収納課は「業者が活性化し、市の認知度や税収のアップにつながる好循環を生み出したい」としている。
中国新聞社