壮大なスケールで描かれる“国際共同製作ドラマ”の魅力に迫る 最新作「コンコルディア/Concordia」も独占配信中
現在Huluでは、「ゲーム・オブ・スローンズ」など話題作を次々と手掛けるフランク・ドルジャーが製作総指揮をとる最新作「コンコルディア/Concordia」(毎週金曜新エピソード更新/全6話)が独占配信中だ。「コンコルディア/Concordia」はドイツの公共放送局ZDF、中東のメディア企業MBC、フランス国営放送局グループFrance Televisions、そして日本のオンライン動画配信サービスHuluが参画する大型国際ドラマとなっている。各国の実力派俳優や制作陣が作り上げる大型国際ドラマは、これまでも多くの名作を生んできた。Huluが誇る国際共同製作ドラマ作品をまとめて紹介し、その魅力を振り返る。 【写真】山下智久が初の海外ドラマ主演を務めた漫画実写化作品「神の雫/Drops of God」 ■Huluオリジナル「THE HEAD」 エミー賞受賞のラン・テレム総指揮のもと制作された、日欧が共同製作した国際連続ドラマ。さまざまな国から実力派の俳優が参戦するなか、日本からはメインキャストの1人として俳優の山下智久が出演したことでも話題をさらった。 配信後は日本を飛び越えアジア全体から支持を得た同作。2020年のHulu年間視聴者数海外ドラマランキングで1位に輝いた。クローズドな環境で起きる連続殺人、極限の状況で起きる人間ドラマと意外すぎる結末が、多くの人を震撼させたのだ。 物語の舞台は太陽の光が失われ、暗闇と氷河に囲まれた南極。10名の越冬隊は南極科学研究基地で過酷な南極を耐え忍んでいた。しかしある日を境に、突如彼らとの連絡が途絶える…。 極限状態の南極で、一体何が起こったのか。冬が明けて基地に戻ったメンバーが見たのは、7人の惨殺体。生き残った者、行方不明の者を探すべく、状況の把握に務める隊員たちの時間軸と、“事件”が起きた時間軸が交錯するストーリーが秀逸だ。 南極という極限かつ隔絶された空間で二転三転と急転直下を迎えるストーリーは、つい引き込まれる魅力を持つ。また演者がそれぞれの母国語を話すシーンなど、国際共同制作作品ならではの魅力も。物語の随所に散りばめられた伏線が怒涛の如く回収されていくラストの展開がカタルシスを呼ぶ、震撼の極限心理サバイバル・スリラーとなっている。 ■Huluオリジナル「THE HEAD」 Season2 90以上の国と地域で公開され、世界が震撼した前作「THE HEAD」から約3年。待望の2作目は舞台を南極から太平洋の中央に浮かぶ秘密研究基地へと舞台を移し、善と悪がぶつかり合う震撼の事件をスリリングに描写。前作でキーパーソンとなった生物学者アーサー(ジョン・リンチ)、医師マギー(キャサリン・オドネリー)が再登場し、世界中から期待を集めた。日本からはメインキャストの一人として俳優・福士蒼汰が出演し、流暢な英語を披露したことでも話題に。 舞台は太平洋の中央に浮かぶ秘密研究基地。気候変動から全人類を救うために優秀な研究員たちが集められ、日夜最先端の研究に努めていた。そして努力が実り、ある日研究員たちは地球温暖化の解決策となりうる大発見をする。 しかし成功を祝うパーティーの翌日、研究員の1人が“首のない死体”として見つかる大事件が発生。侵入は考えられない絶海の密室で起きた事件ということもあり、研究チームは帰還を余儀なくされてしまう。人類を救うという大義名分の裏で、科学者や乗組員たちの欲望や野心、因縁が交錯する船上。陸から2,700kmも離れた隔絶された海の上でおこなわれる極限の心理戦の果て、アーサーら科学者と乗組員たちは生き残ることができるのか。 前作の設定と謎を上手に使いこなし、緻密に組み上げられたトリックはさすが「THE HEAD」チームというべき完成度。山下に続く日本人俳優としてチーム入りした福士の演技も光り、全編英語セリフの演技をスマートにこなす姿はバッチリ国際俳優の風格が漂っていた。 シリーズの醍醐味である結末に向かって駆け抜ける疾走感はそのままに、船の上と地上、それぞれの時系列が絡み合うストーリーは圧巻のひと言。 ■Huluオリジナル「THE SWARM/ザ・スウォーム」 原作は“映像化不可能”と言われたベストセラー小説。そんな物語をヨーロッパ制作のTVシリーズ史上最大級の制作費を注ぎ込み、世界各国で活躍するキャスト・スタッフが集結して心を震わす映像世界を作り上げた。各国の海が起点になる同作では、海に囲まれた国・日本も大きな関わりを持つことに。同作には日本から木村拓哉がある重要な役柄として出演を果たした。 クジラやシャチが突如人間を襲い、ロブスターによる謎の感染症が蔓延。世界中の海で起こる異変は、見えない糸で繋がっていた。“宇宙よりも謎が多い”と言われる深海で起きている事態に気づいた人々は、自分にできることを模索して動き始める…。 映像化不可能と言われていた原作を映画の世界に落とし込むために使われたのは、ヨーロッパ最大級の水中スタジオ。実際に“水中からの視点”を再現できるスタジオ演出とCGを組み合わせることで、圧巻の映像美と大迫力の映像を実現した。 精巧かつ大掛かりなVFXやいまだかつてない多様な表現で描かれた海の映像は、圧巻のひとこと。“ヨーロッパTVシリーズ史上最大級の制作費”をかけた凄まじいクオリティの映像を作り得たのは、国際共同製作ドラマというカテゴリだったからこそといえるだろう。 静かに、しかし確実に忍び寄ってくる恐怖。海という人類がまだ知り得ない領域で起きる、これまでの常識を覆す不可解なできごと。海を知ろうと努力してきた人だけが至る“気づき”と、それをあざ笑う常識的な識者たちの会話は実にリアルだ。 もしかしたら現実に訪れるかもしれない危機を、迫真の映像で表現した「THE SWARM/ザ・スウォーム」。フランク・ドルジャーが仕掛けた“モンスター”の正体を、ぜひ見極めて欲しい。 ■Huluオリジナル「神の雫/Drops of God」 日本で爆発的人気を得ていた漫画「神の雫」を実写化した同作。フランス、イギリス、日本が共同製作し、山下の海外ドラマ初主演作だ。 世界的ワインの権威アレクサンドル・レジェが亡くなり、フランス・パリに暮らす彼の娘カミーユ。彼女とアレクサンドルに師事していた遠峰一青はある日弁護士に呼び出され、彼の遺言を聞くことに。 それはワインに関する3つのテストの勝者どちらかに、総額160億円にも及ぶ莫大な資産を譲るという驚くべきものだった。ワインに人生を賭けた男と、ワインに運命を狂わされた女。若き2人の国境を超えた対決が幕を開ける――。 本作は大人気漫画を大胆にアレンジして実写化。原作漫画では主役の男性キャラクター=神咲雫をフランス人女性・カミーユに置き換えると同時に、山下智久が演じるワイン評論家・遠峰を主人公に据えた意欲作だ。 作品が生まれた日本、ワインを愛する国フランス、イタリアを舞台にした壮大な国際連続ドラマで、東洋と西洋の文化を織り交ぜた数々の仕掛が面白い。 同作において特に秀逸なのが“画作り”。フランス映画のような色彩と切り取り方、スタイリッシュな演出によるメリハリが没入感を高める。爪の先まで“本物”になりきった主人公2人の演技に、ふと息を止めていたことに気づく…という瞬間が味わえる名作だ。 ■Huluオリジナル「コンコルディア/Concordia」 数々の名作を生んできた国際共同製作ドラマの最新作として、いま一番注目を集めているのが「コンコルディア/Concordia」。2022年に制作発表された同作が、2年越し2024年11月8日(金)より独占配信中されている。 日本からは俳優の中島健人が主要メンバーの1人として出演しており、中島の海外ドラマ初出演作品としても注目度が高い。 物語の舞台は、カメラとAIに生活のすべてをモニタリングされたコミュニティ“コンコルディア”。コンコルディアは自由で公平な社会を実現するために生み出され、AIテクノロジーによって網羅されている。街の至るところに設置されたカメラ、利用するメールや電話から導きだされた人々の行動パターン、それらのすべてをAIが一括管理をしている。 緑豊かでAIに守られているため大きな犯罪とは無縁の理想の町。そんななか、価値観を揺るがす“起こるはずのない”殺人事件が起きてしまう。AIは何を見逃したかー。住人たちはAIに守られているのか、それとも監視されているのか。AIや監視カメラが広がりつつある現実社会に問いかけてくる作品になりそうだ。