「米アメフト史上最高のワイドレシーバー」に天賦の才能はあったのか? 生涯競技時間「150時間」に対して、彼が練習に費やした時間は
なぜライスは素晴らしい選手になれたのか
「なぜあの選手はすごくなったのか」という類いの質問は、必ずやスポーツファンの中で論争の種となる。しかし、ライスの場合はその答えに議論の余地はまったくない。 フットボールの世界ではライスが最高の選手だということに異論はないようだ。他のどの選手よりシーズン中もオフシーズンも練習に懸命に努めるからだ。 チームの練習ではライスは張り切り屋で有名だった。多くのレシーバーがパスを受けたあとクオーターバックのところにゆっくり戻ってくるが、ライスの場合必ず走って戻った。そして、他のチームメンバーが家に帰ったあとでもいつも遅くまで練習を続けたものだ。 とくに注目に値するのは、オフシーズンに週に6日のトレーニングを行うことだ。ライスはこうした訓練を完全に一人で行っている。 午前中は心肺機能強化のため丘陵を5マイルほど走り、もっとも傾斜のきつい40メートルの距離では10回全力疾走を行っていたと報じられている。午後には、同様に激しいウエートトレーニングを行った。 ライスのこの訓練はNFLリーグでもっとも厳しいものとして伝説のようになり、ときには他の選手たちがライスはいったいどんな練習をしているのか知ろうと参加することもあった。しかし、一日のメニューが終わる前に気分が悪くなる選手もいたほどだった。 ときにはフォーティナイナーズのチームメンバーが手紙を書いて、ライスの訓練を教えてくれと頼むこともあった。しかし、トレーナーはライスのまねをしてケガでもされては困ると考え、その情報はけっして教えなかった。 ライスの話の教訓は厳しい訓練が大きな違いを生み出すという事実だ。しかし、さまざまな研究やまわりをみてもわかるように、懸命に取り組むことだけでは、たいていの場合、「偉大な業績」にはつながらない。 また、大学時代、選手として素晴らしい成績を収めたあとでも、ワイドレシーバーにとって必須だとフットボールの監督が考えている「ずば抜けたスピード」を持ち合わせていなかった。 それゆえ、ライスの物語には他の何かが潜んでいるにちがいないと考えざるをえない。そう、たしかに何かが潜んでいるのだ。 いくつかの重要なポイントをみてみよう。
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