年間獲得賞金“9億円超え”でツアー新記録 ジーノ・ティティクルがケガを乗り越え最終戦V
<CMEグループ・ツアー選手権 最終日◇24日◇ティブロンGC(米フロリダ州)◇6700ヤード・パー72> ビックボーナス獲得で古江彩佳とニッコリ【写真】 最後に大逆転だ。ジーノ・ティティクル(タイ)が1イーグル・6バーディ・1ボギーの「65」をマークし、トータル22アンダーで2024年シーズンの最終戦を制した。“年間女王”の称号に加え、ツアー史上最高の優勝賞金400万ドル(約6億2000万円)を獲得した。 エンジェル・イン(米国)と並んで首位タイで最終日に入った。前半をともに2アンダーで折り返すと、エンジェルは16番までさらに4バーディ。ティティクルは2打差つけられ、残り2ホールに入った。 それでも17番パー5では2オンに成功し、6メートルを決めてイーグル。最終18番では6番アイアンでの2打目を1.5メートルにつけて“ウイニングパット”を沈めた。「(17番2打目は)実は少しダフって、運よくキャリーをしてくれた。下りのパットが難しかったけれど、ロニ(同組のイン・ルオニン)が先にパッティングをしてくれていたので、少しはラインを読めていた」。プレーオフに持ち込むことを考えていたティティクルだが、上がり2ホールで一気に逆転した。 2021年の最終予選会(Qシリーズ)を3位で突破して米ツアーメンバー入り。古江彩佳、渋野日向子とは“同期”になる。ルーキーイヤーに2勝を果たし『ルーキー・オブ・ザ・イヤー』(新人賞)を獲得。同年には史上2番目の年少記録(19歳8カ月11日)で世界ランキング1位にも輝いた。そして「大きな期待」とともに迎えた2年目は、勝利こそなかったものの、年間平均ストローク「69.53」で1位に輝き『ベアトロフィー』を戴冠した。 「去年は自分にプレッシャーをかけすぎて、コースでは楽しくなかったし、笑顔もなかった。今年の初めにはケガをして、そこからはまた良いゴルフができるのか、今までと同じようなゴルフができるのか。不安になっていた」 左足親指のケガによって、3年目は自身のシーズン開幕が遅れ、初戦は4月の「シェブロン選手権」(結果は12位)だった。そしてルオニンとペア組んだ6月「ダウ選手権」で優勝。そして2度の2位に入った。「(きょうは)新たなチャンスが巡ってきた。生か死ではない。勝てば本当に良いことだし、もし勝てなければ、自分の持っている力を100%出し切る大会になると思った」。そして満面の笑顔でトロフィーを掲げることになる。 火曜日には“リスクに強いで賞”こと『AONリスクリワードチャレンジ』で1位に輝き、ボーナス100万ドルを獲得した。そして日曜日には優勝賞金400万ドルをゲット。まさに“一攫千金”の1週間だった。「賞金のことはあまり考えていない。賞金のためにここにいるのではなくて、ゴルフというゲームを成長させるためにここにいる」と言うものの、「間違いなくお金を使うよ。私がお金を使いまくっているのは両親には内緒だよ(笑)」と冗談めかして笑っていた。 ご褒美はディズニーランドで遊ぶことと決めている。「ディズニーに行ったことがない。ミッキーマウスと写真を撮りたいし…あとは何があるか分からないや」。年間獲得賞金は605万9309ドル(約9億3000万円)で、2007年にロレーナ・オチョア(メキシコ)が稼ぎ出した436万4994ドルを上回り、ツアー新記録を樹立。笑顔振りまく21歳の、さらなる快進撃が楽しみだ。(文・笠井あかり)