中国の若者に「金豆」大流行-経済の不透明感で安全な投資先求める
(ブルームバーグ): 中国はここ15年で最も深刻なデフレ状況にあり、株式市場は不安定で、銀行の金利は低過ぎるとして、ティナ・ホンさん(18)は豆粒大の小さな金製品「金豆(ゴールドビーンズ)」を投資先に選択している。
重さわずか1グラムほどの金豆やその他の金のアクセサリーは、経済に不透明感が漂う時期にあって、中国の若者にとって最も安全な投資先と見なされつつある。これは地金やブレスレットなど、金全般を買い求める消費者の大きなトレンドの一部であり、中国本土を巻き込んでいる。
福建省でコンピューターサイエンスを専攻する大学1年生のホンさんは、「金を買って損をすることは基本的にありえない」との理論の下、1グラム当たり約600人民元(約1万2400円)と比較的安価だとして金を購入し始めたと語る。ホンさんは2グラム以上の金豆を持っており、国際的な金価格よりコストが低い限り買い続けるという。
若い消費者のために投資の入り口としてブランド化されたガラス瓶入りの金豆は、中国の宝飾店で最新の売れ筋商品となっている。宝飾類小売りの周大福珠宝集団のリポート「2023宝飾品の消費動向調査」によると、Z世代が中国で最も金のアクセサリーを購入している。同世代は若年層の高い失業率とデフレへの移行に揺れている。
中国のゴールドラッシュ
伝統的な投資への信頼の欠如が、この新しい中国のゴールドラッシュに拍車をかける。
中国の株式市場は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの経済再開後、下落が見られ、主要な株価指数の一つは2018年以来の安値水準まで下げている。一方で、中国人民銀行(中央銀行)は21年12月以降、主要金利を4回引き下げており、資産運用商品のリターンを押しつぶしている。
ロンドン本拠のコンサルティング会社メタルズ・フォーカスのマネジングディレクター、ニコス・カバリス氏は、若者は「楽しい消費」を避け、装飾品や投資のために金豆のような「資産型宝飾品」を購入していると語った。