[特集/究極・三つ巴戦線 02]明確な武器から繰り出される致命的な一撃 3強の運命を左右する要注意選手6人
5位のスパーズはアストン・ヴィラとは対照的にアンジェ・ポステコグルー監督の攻撃スタイルの旗の元、自分たちのサッカーをぶつけていく。勢いに乗ったときの攻撃はスピーディーでアグレッシブ。3強とも正面からの打ち合いを挑むだろう。その先頭に立つのがソン・フンミンだ。 相変わらずの俊足と1対1の突破力だが、より円熟味を増した。冷静に周囲の状況を把握してのラストパスに味が出てきた。以前は左サイドでの突破力が際立っていたが、CFとしてプレイする機会が多くなった。プレミアらしいパワフルなCFではなく、スピードと巧さが際立つタイプ。かつての単独プレイから味方を上手く使っての連係で新境地を拓いている。 高い得点能力も言わずもがな。今季前半戦ではアーセナル相手に2ゴール、リヴァプールとシティ相手に1ゴールと、しっかり数字を残している。トッテナムは今季、ソン・フンミンがゴールを決めた試合はいまだ負け知らず(9勝2分)。優勝へ向けて3強が勝ち点の取りこぼしを防ぐためには、ソン・フンミン封じは必須だ。
小柄なテクニシャンとプレミアらしい正統的CF
順位はアストン・ヴィラ、スパーズから下がって8位ながら、ウルブズも気になる存在だ。アーセナル、シティと対戦した後、リヴァプールとは最終節で当たる。僅差勝負の優勝争いは最後までもつれる可能性があり、リヴァプールはスパーズ、アストン・ヴィラの次がこのウルブズ戦。一方、シティも2節前にウルブズと対戦。最終盤に優勝を左右するチームとなるかもしれない。 そのなかで、注目はペドロ・ネト。ウイングの名産地であるポルトガルのレフティだ。細かいタッチから一気に加速していくドリブル、多彩なテクニックはいかにもポルトガル的。2、3人の間をするすると抜けていくセンスもある。実際に第5節リヴァプール戦では、ドリブルで3人の間をぶち抜きペナルティエリア内へ進入し、ファン・ヒチャンのゴールをアシストするシーンがあった。 小柄だがフィジカルコンタクトにも強く、接近戦でボールを自分の前にこぼす技術にも長けている。左右どちらのサイドでもプレイできて中央もやれる。左足のキックが正確。ヘッドダウンしてドリブルするので周囲が見えていないようだが、ちらりと盗み見するように状況を把握していて、ドリブルしながら的確にラストパスのターゲットを見つけることができる。懐から飛び出すようなキックは鋭く、精度が高い。 ネトは第28節フラム戦で負傷交代を余儀なくされた。ただ、3強との対戦は幸いにも1カ月以上先。もし試合に間に合えば展開の優劣関係なく個の力でさまざまな局面を打開できるネトは、3強といえども警戒せざるを得ない存在だろう。