ジャズピアノに魅了された者たちの熱い一夜を描いた『白鍵と黒鍵の間に』
実力派俳優・池松壮亮が一人二役でジャズピアニストを熱演
「南瓜とマヨネーズ」や「ローリング」など、繊細な人間描写に定評のある冨永昌敬監督が手掛けた音楽映画「白鍵と黒鍵の間に」のBlu-ray&DVDが、3月20日(水)に発売される(レンタル&TVODは3月6日より)。「ちょっと思い出しただけ」や「シン・仮面ライダー」などで様々な表情を見せる俳優・池松壮亮を主演に迎え、ジャズに魅せられた者たちの熱く幻想的な一夜を描き出す。 原作は、現役のジャズミュージシャンで、エッセイストとしても活躍する南博の『白鍵と黒鍵の間に -ジャズピアニスト・エレジー銀座編-』。ピアニストとしてキャバレーや高級クラブを渡り歩いた南の青春回顧録を冨永監督と共同脚本を担った高橋知由が大胆アレンジし、南博という人物を南と博という2人の人物設定に変更。ひとりは場末の高級キャバレーで働くジャズピアニスト志望の博、もうひとりは銀座界隈を牛耳る熊野会長(松尾貴史)のお気に入りである敏腕ジャズピアニスト・南。同じ風貌でありながら性格も持ち味も違う2人の男を、池松壮亮が巧みに演じ分ける。
ジャンルを自由に行き来する“ノンシャラント”で魅惑的な物語
昭和63年の年末、銀座。場末のキャバレーでピアノを弾いていた博(池松)は、ふらりと現れた謎の男(森田剛)に懇願され、“あの曲”こと『ゴッドファーザー 愛のテーマ』を演奏する。しかし、その曲をリクエストしていいのは、銀座界隈で幅を利かせている熊野会長だけであり、演奏を許されているのもピアニストの南(池松)だけだった。 この出来事を機に、南と博の運命はもつれ合い、先輩ピアニストの千香子(仲里依紗)や銀座のクラブバンドを仕切るバンマス・三木(高橋和也)、アメリカン人のジャズ・シンガー、リサ(クリスタル・ケイ)などを巻き込みながら、予測不可能な“一夜”へ迷い込んでいく。 煌びやかな夜の街・銀座の喧噪の裏で展開する魅惑的な物語と、それに寄り添う小気味良いジャズのリズム。音楽への情熱といくつもの記憶が重なり合い、ノンジャンルな物語が展開していくさまは、まさに劇中のセリフで何度も出てきた「ノンシャラント」な魅力であふれている。音楽に懸ける情熱も、人生の目的も、人それぞれ自由であり凝り固まる必要はない。人は何のために生きるのか。原作者の南博自身がピアノを奏でるエンディング曲と共に、映画が投げかけるメッセージの余韻を楽しんでほしい。