ジャズピアノに魅了された者たちの熱い一夜を描いた『白鍵と黒鍵の間に』
Blu-rayには作品の魅力をぎゅっと凝縮した111分の映像特典を収録
本作で目を引くのは、何と言ってもジャズピアニストを演じる池松自身が奏でるピアノの旋律だろう。物語のキーソングとなる『ゴッドファーザー 愛のテーマ』も、なんと池松自身が演奏している。 もともと相当な腕前だったのかと思いきや、実は小学校の頃に一瞬習った程度で、譜面は読めないし素養もなかったというから驚きだ。中学校の合唱コンクールではクラスにピアノを弾ける人が一人もおらず、「家にピアノがあるから」という理由だけで伴奏者に抜擢された池松。そんな彼が、できる限り週1回、半年弱かけてピアノを特訓したのだ。その並々ならぬ努力と見事な腕前は、『ラ・ラ・ランド』で同じくジャズピアノを完璧にマスターしたライアン・ゴズリングを彷彿とさせる。 また、劇中で池松演じる博と森田演じる“あいつ”が二人三脚をする珍しい場面があるが、当初の予定では二人三脚をする予定ではなかったこと、なぜあのシーンが作られることになったのかなど、意外なエピソードも披露される。 映像特典では、そんな出演者らの貴重なインタビューやメイキング、舞台挨拶映像と予告映像集を収録。本編の後に観れば、より作品に込められた監督やキャスト陣の熱い想いや撮影現場での苦労を知ることができるはずだ。 文=原真利子 制作=キネマ旬報社
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