「枝物」が人気 アカシアやユキヤナギ 四季の変化飾って実感
目新しい品目に注目
猛暑が続くなど気候が変動する中で初夏の新緑、秋の紅葉など四季を感じるために、枝物を飾る人が増えている。品目や品種は年々多様化しており、花き卸の東日本板橋花きは「ハナリョウブやスモークツリーなど、リバイバルを含めて目新しさがある品目が人気。ニーズに合わせたものを作る時代」と話す。 【一覧表】枝物の例
1品目で魅力多彩
需要の伸びが顕著なのがアカシアだ。2023年の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は1本当たり103円で、10年前に比べて約2倍になった。取引量も同3倍に伸びている。 春に出回る花付きは「ミモザ」として国際女性デー(3月8日)の象徴になっている。黄色いふわふわした小花のかわいらしさから、若年層にも人気を集める。開花期以外は葉を鑑賞する商品として出荷し、1本の木で“二度おいしい”品目だ。 ユキヤナギも春は芽吹きや花付きで出荷し、秋は紅葉もの、と季節ごとに姿を変えて流通する。
期間限定を逆手に
切り花の主要品目が周年で出回る一方で、枝物は、出回り期間が短くても逆に季節の移ろいを感じさせるとしてプラス材料になる。 青山フラワーマーケットたまプラーザテラス店(横浜市)によると、その時期にしか楽しめないものが人気を集めるという。春はアカシアやコデマリ、桜などの花付きが売れる。夏は涼しげな葉のドウダンツツジやアセビが年齢層に関係なく大人気。煙のようにふわふわした見た目が特徴のスモークツリー、緑の実付きのブルーベリーなどが店頭に並ぶ。 秋は紅葉したユキヤナギや赤い実付きのノバラ、葉も実も色づいた紅葉ヒペリカムなど、赤系の葉や実が付いたものが人気。冬はユーカリやコニファー、ヒバなど、クリスマス向けのスワッグやリースの素材になるものが売れている。
各地で導入広がる
日持ちが良く、添え物として合わせやすいユーカリは各地で栽培が広がる。トルコギキョウや宿根カスミソウなど、花き生産が盛んな福島県のJA会津よつばでもユーカリを導入。JAあいづ花卉(かき)生産部会枝物専門部では現在20人が栽培する。主力の切り花や野菜経営に加える農家が多く、昨年度は約11万本を出荷した。 JAの担当者は「ユーカリは主力品目の出荷が落ち着いた秋冬に出荷できるのが魅力」と話す。
日本農業新聞