NHK朝ドラ史上、最も視聴者をイライラさせたキャラ(4)一時は大ブーイングも…手のひら返しで絶賛された俳優
1961年にスタートしたNHK連続テレビ小説、通称“朝ドラ”。月曜日から金曜日まで毎朝8時から放送され、通勤や通学前の視聴者に活力を与えているが、時にはどうしても素直に好きとは言えないキャラクターも登場する。今回は比較的記憶に新しい朝ドラの中から、俳優の演技が上手すぎて視聴者を大いにモヤモヤさせたキャラクター5選をお届けする。第4回。(文・苫とり子)
算太(濱田岳)『カムカムエヴリバディ』(2021)
2021年下半期に放送された『カムカムエヴリバディ』で賛否を巻き起こしたのは、濱田岳演じる算太だ。本作は、朝ドラ史上初となる3人のヒロインが織りなす100年の物語。 算太は岡山の和菓子屋「たちばな」の長男で、1人目のヒロイン・安子(上白石萌音)の兄。跡取りとして期待されていたが、チャップリンに憧れてダンサーを志し、実家を出てダンスホールで働いていた。 しかし、戦争の煽りを受けて職場が閉鎖。実家に戻ってくるも多額の借金が判明し、父親に勘当されたまま出征する。ある種、戦争の被害者であり、なおかつそこにいるだけで周りがパッと明るくなるような性格だったため、ここまでは視聴者に愛されるキャラクターだった。問題は復員を果たしてからの行動。 安子の嫁ぎ先に居候し、二人で「たちばな」の再興を目指していたが、思いを寄せていた女中の雪衣(岡田結実)に失恋して自暴自棄になり、開業資金を持ち逃げしたのだ。 それをきっかけとして悪いことが重なり、安子が娘のるい(のちに深津絵里が演じる2代目ヒロイン)と決別してしまったため、算太は全ての元凶と言われることに…。逆に、算太がいなければ物語は始まらなかったとも言える重要なキャラクターだ。 さらには3代目ヒロイン・ひなた(川栄李奈)の時代に再登場。ひなたの母である、るいに「安子は何も悪くない、わしがみんな悪い」と告げ、最後に安子の兄としての務めを果たした。 一つの作品で73年の人生を生き切った濱田。老いの演技はもちろんのこと、終盤で披露した圧巻のダンスシーンにも視聴者から絶賛の声が集まった。 (文・苫とり子)
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