ホンダ モンキーZ50J、Z50JZ詳細解説【車載重視から、普通に走れるバイクへ】リヤサスが付いた「50ccモンキーの完成形」
2007年のキャブ仕様最終型まで不変のフォルムを継続した第四世代、モンキーZ50JZ(1978)
比較的短期間でモデルチェンジを繰り返してきた同車の完成形と言えるのが、1978年に登場したZ50JZ。5Lのティアドロップタンクとシート形状は、同車のキャブレター仕様が終焉する2007年まで不変だった。 1970年代半ばのZ50Jの登場により、走りに磨きがかかったモンキーは、ここから新世代に入った感がある。前後を普通のサス形式としたことで、走りのチューンアップベース車としても注目を浴びるようになったからだ。そしてZ50JZは、より走りの行動範囲を広げる方向を進んだ。 特徴のひとつが先代から1L増となった5Lタンク。同タンクも、歴代モンキーの識別時に「5Lモンキー」と通称されるが、もうひとつ同モデルからは、燃料漏れ防止付きキャップではなくキーロック付きの通常型キャップへ変更された。これにより、モンキーを横倒しでトランクに積む車載の形態と決別。リリースでも「小型乗用車で目的地に運ぶことも可能」とし、トランク収納を謳わなくなった。 そして、より快適方向に厚みを増したシートは新作となり、ヘッドライトは大型化され光量もアップ。ウインカーも新デザインとなっている。ほかに、リヤキャリヤの標準装備もJから踏襲し、ツーリング用途も意識したものとなった。 なお、1978年に同時に登場した派生モデルとしてゴリラがある。こちらはモンキーをベースに旅性能を高めたもので、変速はマニュアルクラッチのリターン4速化。モンキーはこの時点では自動遠心クラッチの3速だが、1985年から4速マニュアル式を採用した。 ■Z50JZ概要 ティアドロップ型の5Lタンクと、大径化されたヘッドライトが特徴。ハンドルを折りたためる機構は残すものの、ガソリン漏れ防止装置を廃止するなど、四輪のトランクに横倒しする積載は想定しなくなった。全長はZ50Jから15mm長くなっているが、車重は変わらず乾燥で58kg。シートは着座ポイントの厚みを増した新デザインとされ快適性に配慮。高低2段階のシート高調整は廃止された。 ■Z50JZエンジン 2.6psと最高出力が不変のエンジンは、自動遠心クラッチ3段+シーソーシフト。しかし、兄弟車ゴリラに採用されたマニュアルクラッチ4速を、後にモンキーも採用。1979年販売の銀メッキのリミテッドで4速が初採用となり、1985年型からは標準モデルが4速化し、エンジンの最高出力は3.1ps/7500rpmに向上。 ■Z50JZ足まわり 先代のJ型から踏襲した2本ショックのスイングアーム式リヤサス。撮影車のタイヤはロードタイプだが、標準はブロックパターン。 <モンキーZ50JZ[1978]主要諸元> ■エンジン 空冷4サイクル単気筒OHC2バルブ ボア・ストローク39×41.4mm 排気量49cc 圧縮比8.8 点火方式フライホイールマグネトー 始動方式キック ■性能 最高出力2.6ps/7000rpm 最大トルク0.3kgm/5000rpm ■変速機 常時噛み合い3速リターン 変速比 1速3.181 2速1.823 3速1.190 一次減速比3.722 二次減速比3.083 ■寸法・重量 全長1340 全幅600 全高845 軸距895 最低地上高150(各mm) 前後タイヤサイズ3.50-8(2PR) 車重58kg ■容量 燃料タンク5L ■価格 10万円(当時) まとめ●阪本一史 写真●山内潤也/ホンダ