「先の見えない仕事」挫折しないための2つの鉄則 手応えのない時ほど、ブレずに着実に歩を進めることが重要
だがそのあと、自分が作ったものが、どうしてもうまくいかないと気づくときがやってくる。別の方法も試してみるが、それでもうまくいかない。 ■最も苦しいのは「手応え」のない状態 果てしない砂漠を歩いて横断すると想像してみよう。 辺り一面、砂に囲まれている。一日中歩き続けても、まわりには砂しかない。寝ても覚めても、砂しかない。くる日もくる日もそれが続く。 前に進んでいるようには思えないが、確実に前進はしている。小さな一歩を積み重ねていけば、最後には砂漠を抜け出すことができる(それまでに死んでいなければ)。
「手応えのない砂漠」は、旅のなかで最も長い部分だ。ここでは、あらゆることを試してみるが、何もうまくいかない。 プロダクトを作っても、うまくいかない。プロダクトを作ってうまくいっても、ユーザーが来ない。プロダクトを作ってうまくいき、ユーザーがきても……定着しない。 失敗するスタートアップのほとんどが、この砂漠での旅のあいだに脱落する。 本物の砂漠でも、スタートアップにたとえた場合でも、砂漠を歩いて横断するときには、避けたほうがよいことが2つある。
1.方向を変えない。変えてしまうと、同じ場所をぐるぐる回る恐れがある(砂漠で道に迷ったかもしれないときは、「ピボット(事業の方向転換や路線変更)」をするタイミングではない)。 2.燃料を切らさない。燃料(スタートアップの場合には資金)は、砂漠の真ん中では非常に高価だ。 ■「早く失敗する」起業家ほど成功の機会が増える 失敗の旅はいつでも、PMF(プロダクトマーケットフィット)を達成する(基本的には、ユーザーに対する価値を生み出す)ことからはじまる。
PMFを達成したら、ビジネスモデルの構築でも、海外展開でも、スケールの仕方を学ぶにしても、次の旅程のチケットを購入することになる(それはそれで、また別の失敗の旅となる)。 PMFが見つかれば、成功への道を進んでいる。見つからなければ、死んでしまう。 旅の各行程で、最も重要になるのは、どれだけ早くリカバーできるかであり、早くリカバーするには、早く失敗しなければならない。 次のアイデアやコンセプト、テーマへの挑戦に向けて、どれだけ早く持ち直すことができるか。
この「早く失敗する」手法を取り入れる起業家は、単純に成功の機会が増える。
ユリ・レヴィーン :起業家/樋田 まほ :翻訳者