阪神・前川右京 恩師が感じた変化と成長 忘年会で示した覚悟「俺、ほんまにちゃんとやらなあかんから」
「巨人4-0阪神」(29日、東京ドーム) 三重・津ボーイズの松本直也監督(51)が教え子の阪神・前川右京外野手(20)の変化と成長を語った。毎年、年末には家へ泊まりに来るなど、息子のような存在。昨年の12月28日にも居酒屋での忘年会とお泊まり会が実施されたが、これまでとは明らかに違いがあったという。恩師だからわかる、右京の姿を明かした。 【写真】子どもたちからのメッセージが書きこまれた色紙 期待がヒシヒシ伝わってくる 23年12月28日。三重県の居酒屋で毎年恒例の食事会が開かれた。松本監督は右京と初めてお酒を酌み交わす。「一緒に飲んだのは初めてですから。うれしかったですね」。ただ、右京は2杯ほどでお酒はやめて、ソフトドリンクを頼むようになった。 お酒を飲めなかったわけではない。「周りの同級生が遊んでる中でも走って、ジムも行って、徹底的にやってましたんでね。食事管理もちゃんとしてましたね」。己を律し、野球を第一に考える中で自然と2杯でストップした。 翌朝、松本監督は驚きの姿を目撃した。右京は早朝に起床。ただ、一緒に宿泊していた友人は二日酔いでベッドの中だった。すると、右京は友人をたたき起こした。「あかんて。今年は俺、ほんまにちゃんとやらなあかんから、起きろや」。最終的には引きずるような形で練習へと向かった。 一昨年までは友人に流され、遊びに割く時間も多かった。でも、今年にかける覚悟は違う。「常に野球のことが頭にある感じでしたね」と松本監督。その思いは言葉からも伝わってきた。「甘くないんです」。プロ3年目。苦しい日々の方が脳裏に焼きついていた。 だからこそ、今年の冬は野球漬けの生活を自分で選んだ。「必ず、開幕1軍でスタメンで出ます」。何度も何度も恩師の前で口にし、有言実行。その裏では遊びを捨て、野球に集中するというオフの取り組みがあった。 野球への姿勢が変わって、私生活も変わった。そして、変化は髪形にも現れた。「本当に落ち着いて、髪形もやっとらしくなったかなって感じ。ツイストパーマとかをかけて、チャラチャラしてたのが大人になったって感じですね」。松本監督は少し笑いながら、右京の成長を喜んでいた。 まだ20歳の3年目。松本監督は「そんなに焦らなくても…」と本音を漏らしたが、右京の強い覚悟を肌で感じた。「阪神の顔になって、3番を打ってほしい。将来は三冠王を取ってほしいですね」。右京なら、やれる。松本監督は教え子を信じて、応援し続けている。(デイリースポーツ阪神担当・今西大翔)