「災害二度と」平穏祈り 7月豪雨・県内被災地の年の瀬
被災後、後藤さん家族は市内の妻静美さん(66)の実家に身を寄せていた。毎日、自宅に通って泥をかき出し、床板や壁の張り替えなど、復旧作業を続けてきた。住める状態になったのは12月下旬。年の瀬になり家財道具や荷物を搬入できるようになった。 大みそかも後藤さんは夕方まで、布団などを運び込み、被災後、初めて自宅で床に就けるようになった。5カ月ぶりのわが家。「ゆっくり過ごせそうだ」と話したが、地元の大沢コミュニティ振興会で会長を務める後藤さんは「いまだ苦しんでいる人が大勢いる。自分だけ喜ぶことはできない」と複雑な表情だった。 復旧が進んでいない住宅や農地に加え、被災後、空き家も増えているのが現状だ。後藤さんは「こういう時だからこそ、人と人とのつながりを大切にし、復興に向けて地域全体でできることを少しずつ積み重ねてきたい」と話す。再び、あのような災害が起きないよう、一年の最後に仏壇と神棚に手を合わせた。
■鮭川・庭月観音 本堂が水没するなど、鮭川村の中でも被害が大きかった庭月観音(庭崎賢恵(けんえい)住職)では、復興を願うライトアップが行われた。観音堂と参道周辺を、発光ダイオード(LED)電球と、赤と緑のレーザーポインターで照らした。ちょうちんも並んだ。庭崎住職は「2025年は落ち着いた年になることを願って、新年の祈とうをする」と語った。ライトアップは2日まで、午後7~10時に実施する。 【7月豪雨】昨年7月25日、庄内、最上両地域を中心に大雨となった。新庄署員2人と酒田市の高齢女性の計3人が犠牲になった。最大3383人が避難し、被害額約1111億円は本県の災害では過去最悪。県内で仮設住宅建設は酒田大火以来で、戸沢村28世帯58人、鮭川村8世帯16人が身を寄せる。