「自然分娩」は素晴らしい? 無痛分娩が主流の先進国も多いなか…日本での普及が進みづらい背景
負担を強いられる“本人”の声がかき消されている
産後の話に移りましょう。世の中には母乳が出やすい人と出にくい人がいます。さらに、ここからが重要なのですが、「母乳をあげたい人」「市販のベビーミルクをあげたい人」と、お母さんたちには様々な考え方があるはずです。 しかし、ここでもまた「子どものためには母乳が一番!」という声がニッポンでは何かと強いのです。とにかく母性がどうのこうのとやかましく、当事者である「お母さんの都合」などおかまいなしです。 念のために言うと、確かに母乳で育った子どものほうがアレルギーが出にくい研究結果があったりと、母乳の良さを実証しているデータも一部にあるものの、世の中「データが全て」ではありません。 市販のミルクでアレルギーなしで元気に育っている子も世界中にたくさんいます。何よりも気になるのは、この母乳問題は無痛分娩と同じく「負担を強いられるのは女性」なのに、女性の声が何かとかき消されていることです。 このようにニッポンの社会には「とにかく女性がラクすることを快く思わない」層がいるわけですが、よく考えてみれば、これにノセられる必要は全くありません。「知ったこっちゃない」と自分が好きなようになんでも選べば良いのです。 そこを堂々と「私はみんなと違うやり方を選ぶ!」と公言するか、それとも「何も言わず、でも実は好きなやり方を選ぶ」かは女性のキャラクター次第だと思いますし、どちらでも良いと思います。 大事なのは、「ニッポンの社会には女性に苦労させたがる闇がある」ということを自覚すること。そして、自分の選んだことについて周りからどんな「雑音」があろうと、それを無視する精神力を持つこと。そういう心構えがあれば、堂々と生きられるってもんです。
サンドラ・ヘフェリン