トリニータ創設30周年記念試合 チームの歴史彩った選手・監督54人が観客沸かす
サッカーJ2大分トリニータの「クラブ創設30周年記念試合」が22日、大分市のレゾナックドーム大分であった。チームの歴史を彩ったOB選手らのプレーに、集まった6965人の観客が在りし日を懐かしみ、心温まるひとときを過ごした。 前身のトリニティ時代を含め、選手・監督54人が出場。石崎信弘監督、皇甫官監督兼選手がそれぞれのチームを率いた。 試合は30分ハーフ。OBの多くは動きが鈍りながらも、随所に全盛期の片りんを感じさせるプレーを見せた。 最初のJ1時代に活躍したFWマグノアウベスのドリブルや、生え抜きで元日本代表GK西川周作(J1浦和)の好セーブなどに観客が沸いた。 試合は6―6で引き分けた。選手たちは場内を1周し、ゴール裏で勝利の喜びを分かち合う「大分よりの使者」をサポーターと合唱した。
名GK同士、PKで「真剣勝負」
最も盛り上がったのは、チームが生んだ名GK同士によるPK対決。後半、西川周作がキッカーを務め、高木駿(J1札幌)が守る勝負が実現した。 同じ左利きで特長も似ているだけに、「ライバルであり憧れる存在」と高木。「真剣勝負」を挑んだものの、西川の狙い澄ましたキックはゴール右隅へ。西川を先頭に、選手全員がゴール裏に駆け寄って一緒に喜んだ。 2人の師である吉坂圭介GKコーチは「『人を魅了する選手であれ』と指導していた。同じピッチに立った2人は頼もしかった」と目を細めた。 西川は「普段見ないGKの対決場面は盛り上がった。自分の家に帰ってきたような感覚になり、うれしかった」と終始にこやかだった。
ファン「やっぱりこのチームは最高」
スタンドには往年の名選手の横幕がずらりと並んだ。チャント(応援歌)や手拍子とともに、ホーム戦さながらのトリニータコールで試合は始まった。 口火を切ったのはミスタートリニータ・FW高松大樹。先制ゴールで観客を喜ばせた。ただ、引退から年月を経たOBもいて、選手は頻繁に入れ替わった。その都度、チームの黎明(れいめい)期からを知り、スタジアム実況に加わった大分フットボールクラブの古沢進二さんらが鼓舞した。 サポーターも感慨ひとしおの様子。20年以上チームを追う太田牧枝さん(69)=大分市=は「みんな年を取ったけど、やっぱり動けるね」と昔を振り返り、臼杵市の会社員中上陽介さん(36)は「いろんなことがあったけど、やっぱりこのチームは最高」と大きな旗を振り続けていた。