ウクライナ戦に初の「第三国」北朝鮮参戦…米・NATOの対応で実体明らかに?
韓国政府による「北朝鮮派兵公式化」が波紋 北朝鮮と西側の対立が深刻化する可能性
韓国政府が18日に北朝鮮軍のウクライナ戦争への派兵を公式に確認したことで、国際情勢にかなりの波紋が広がることが予想される。ウクライナ戦争に第三国が参戦するのは今回が初めてで、事実ならウクライナ戦争の性格が国際戦争へと変質する転換点となる。北朝鮮と西側との対立が深化する契機ともなりうる。 国家情報院はこの日、「北朝鮮の特殊部隊員1500人あまりの(ウクライナの)戦場への派遣が始まったことを、8日に確認した」とし、関係国の中で初めてウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の主張を認めた。ゼレンスキー大統領は今月16日の議会で「北朝鮮はロシアに兵器だけでなく工場労働者と軍の兵力も供給している」という主張を公式化しており、前日には「(北朝鮮がロシア)軍の様々な分野で1万人を訓練する計画があると認識している」と語っている。北朝鮮軍派兵説は、今月3日にウクライナの諸メディアが、ドネツク戦線でのロシア側の20人あまりの戦死者に6人の北朝鮮軍兵が含まれていたと報道したことで本格化した。その後、匿名の西側消息筋の発言を引用したウクライナメディアの報道が相次いでいた。 北朝鮮軍の派兵は、ウクライナ戦争を「特殊軍事作戦」と規定してきたロシアの主張から大義名分を奪うと共に、ロシアが懸念する西側の支援と直接介入の大義名分を提供することになるとみられる。ロシアはこれまでウクライナに対する西側の支援を非難しつつ、もし西側の地上軍がウクライナの地に足を踏み入れれば、核戦争も辞さないと警告してきた。そのため、外国軍の参戦はロシアと西側諸国いずれにも「禁止線」とみなされてきた。西側の当局者は「確認できない」として距離を置いてきた。ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は今月15日、「我々は独立的にその報道について(事実かどうかを)確認することはできない」と語っている。NATOのマルク・ルッテ事務総長はこの日の韓国国情院の発表後、ブリュッセルのNATO本部での記者会見で、韓国政府の発表について、「現在までの我々の公式の立場は『確認できない』だが、もちろんこの立場は変わりうる」と述べた。さらに、「特に韓国などのすべてのパートナー国と緊密に接触している。(派兵に関する)あらゆる証拠を確保するためにコミュニケーションを取る」と述べた。同氏は16日にも「現段階では関連報道は(事実かどうか)確認できない」とし「たとえ事実でなくても、北朝鮮はすでにロシアの戦争を支援している」と述べている。 現在のウクライナの戦況は、ロシアの優勢の中にあって「占領地固め」が続いている局面であることが伝えられている。ロシアと北朝鮮は今年6月、ロシアのプーチン大統領の平壌(ピョンヤン)訪問を機に軍事同盟を復元し、全方位的な協力を誓ってきた。その一つとして、ウクライナ戦争によるロシアの労働力不足を埋めるための北朝鮮の労働力支援も言及されてきた。とりわけ前線の後方で軍需を管理する労働力が不足しているため、ロシアが北朝鮮から支援を受ける可能性があるとみられてきた。結果的に、これから米国とNATOがどのような対応を取るかによって、北朝鮮軍の派兵の実体が具体的に明らかになるとみられる。 AP通信はこの日、「(韓国政府の発表が)確認された場合、北朝鮮にとって初の大規模な国際戦争への参戦となる」としつつ、「北朝鮮は世界最大規模の120万人の兵力を有しているが、実際の戦闘経験があまりない」と指摘した。AP通信はさらに、「多くの専門家が、北朝鮮の古い装備と戦闘経験不足を理由に、北朝鮮軍の派兵がロシアにどれほど役に立つかについても疑問を呈している」と付け加えた。 チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )