愛媛県の伊方原発で事故が起きた想定で、伊方町の住民が大分へ避難する訓練をしました。 訓練は、愛媛県で震度６強の地震が発生し、放射性物質が放出される可能性がある想定で行われました。 四国電力・伊方原発は、大分市佐賀関から４５キロ離れた場所にあり、現在も３号機が稼働しています。 大分県は、愛媛県の要請があれば伊方町の住民を受け入れることにしていて、１７日は町民約２０人がフェリーに乗って大分に避難しました。 その後、別府市のコミュニティーセンターへ移動し、避難所開設までの手順などを確認しました。 （伊方町民） 「高齢者が多い状況なのでそういう方を安全に避難させるにはどうしたらいいかこれから意識しなければと感じた」 「スムーズだった。原発の事故だけならいいが地震が重なると港が使えるのかが心配」 伊方原発でもし事故が起きたら、また愛媛の住民を受け入れる場合には大分にどんな影響があるのか見ていきます。 （江藤記者） フカボリです。大地震が発生し伊方原発で事故が起きた場合、まず気になるのは、大分への影響だと思います。 伊方原発は、愛媛県の佐田岬半島のこのあたりにあり、南海トラフ地震の想定震源域に隣接しています。この場所は国の想定では最大震度は６強。また最大で５ｍの津波も予想されています。 もし、地震などで放射性物質が放出された場合を想定し、国は半径３０キロ圏内にあたるこのエリアを重点区域と定めていて、事故が発生したら直ちに避難する、または避難・屋外退避を準備することになっています。 伊方原発に最も近い大分市佐賀関は４５キロの距離なので、原発事故の国の対策計画には大分は入っていないんです。ただし放射性物質が風で大分に流れてくる可能性もゼロではないとしています。１００％の安心は出来ないということですね。 佐賀関にある飲食店の方に話を聞いたところ、「店が海沿いにあり地震の時は揺れと津波に意識が行くので、原発にまでは考えは至らない。ただ、大分の放射線の影響を考えたら不安」と話していました。 さてＶＴＲでもお伝えしたように伊方町の住民が大分に避難するケースが想定されています。 基本的には愛媛県内に避難することになっていますが、半島の道路が寸断した場合には、孤立状態になってしまうので船で大分県内に避難するという計画です。 フェリーだけでなく海上保安部、自衛隊などの船を使うこともあります。 その避難の対象となるのは、原発よりも西側に住む最大で３５００人の町民です。 大分に到着してからは、大分県が各市町村の指定避難所に住民を振り分けます。 避難所は基本的には伊方町民だけになるように調整されていて、大分県は、「避難する伊方町民の地域コミュニティを壊さないよう、同じ地区の人をできるだけ同じ場所に振り分けたい」としています。 （下野アナ） 大分でも避難しなければいけない人が多かった場合、避難所があふれることはないんでしょうか？ （江藤記者） 現段階では、大分県は、あふれることはないとしていますが、もしかすると同じ場所で避難をするケースもあるかもしれないとしています。 また、伊方町民の大分への避難はあくまで一時的なもので、長期にわたる場合は愛媛県内の避難所に移動することになるそうです。 大分県は、今回の訓練を経て、地震の規模やその時の被害状況で臨機応変に対応できるよう愛媛県と協議を進めるということです。