スバリストならこれで満足!? 「クロストレック ストロングハイブリッド」の18.9km/リッターはいいのか悪いのか
みんなが使える最大公約数
……と思い出したこともあり、北米スバルの公式ウェブサイトをのぞいてみた。すると、この原稿を書いている2024年12月中旬現在、そこにクロストレックS:HEVの姿はまだなく、かわりに日本未発売の新型「フォレスター」の2.5リッターS:HEVが「coming soon」と大々的にアピールされている。フォレスターはトヨタでいうと「RAV4」と同クラスだから、そのS:HEVなら、なるほど2.5リッターがちょうどよさそうである。 今のスバルは完全な北米依存体質だ。2023年度(2023年4月~2024年3月)のスバルの世界販売は、約97万6000台。同年度の国内販売が約9万9000台(全車ダイハツOEMの軽自動車をのぞくと約8万7000台)なのに対して、北米での販売台数はじつに約76万3000台! スバル全体の8割近くを、北米市場が占めるのだ!! そんなスバルの北米でのラインナップを俯瞰(ふかん)すると、スバルの本格ストロングハイブリッド(の第1弾)に、2.5リッターが選ばれた理由がなんとなく見えてくる。 北米スバルでは、フォレスターに加えて、国内ではもうすぐ販売終了予定の「アウトバック」も継続販売されており、次期モデルのウワサもちらほら出はじめている。また、そのセダン版たる「レガシィ」も健在だし、アウトバックより大きな3列シートSUVの「アセント」もある。もちろん、クロストレックは北米でも販売されるが、S:HEVがない現時点でも主力は2.5リッター。そのS:HEVとなると、なるほど2リッターでは物足りないかもしれない。 こうしてスバルの北米ラインナップを見ると、そのほぼ全車に使える最大公約数的なS:HEVが、2.5リッターということなのだろう。そんなスバルに日本に好適な2リッターのS:HEVも用意してもらうには、まずは2.5リッターS:HEVが日米、とくに大票田の北米でヒットして、開発予算(と企画担当者のマインド)に、ほかの選択肢も考えられる余裕をもってもらう必要がありそうだ。こういう話になると「結局はアメリカ頼み!?」となってしまうのは、われわれ日本人はなんとも歯がゆいけれど、それがスバルの現実でもある。 (文=佐野弘宗/写真=スバル/編集=藤沢 勝)
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