「衝撃的な解像度、科学者の仕事増えた」クリズム衛星、初画像を公開
クリズムチームはJAXA宇宙科学研究所(相模原市中央区)で会見。科学研究主宰者の田代信プリンシパルインベスティゲータは「すざくの開発にも携わったが、リゾルブは同じ物を見たとは思えないほどの高解像度で、何度見ても衝撃的。エクステンドの視野は狙った天体以外も捉えるほど広く、何が見えてくるのか非常に楽しみだ」と期待を高めた。
クリズムは、2016年に運用ミスで失ったエックス線衛星「ひとみ」の代替機として、約277億円(日本負担分。100億円規模とみられる打ち上げ費用を含む)をかけ開発された。月面着陸機「スリム」と共に大型ロケット「H2A」に搭載され、昨年9月7日に打ち上げられた。来月には初期機能確認から定常運用に移行し、科学観測を本格化する。ただリゾルブの保護膜の開放にはまだ成功しておらず、今後、再挑戦する。チームは「仮に膜が覆ったままでも影響は限定的。画期的な成果が期待できる」とみている。
前島弘則プロジェクトマネージャは、ひとみの事故を受けた改善策を説明。「(失敗を)決して繰り返さない決意をし、システム作りを着実にしており、これまではうまく運用できている。定常運用でもその仕組みでやれば寿命を全うし、良い成果を出せる」と、今後に向け気を引き締めた。
一方、スリムも順調に航行し先月25日、月上空の周回軌道への投入に成功した。今月20日未明、日本初となる月面軟着陸に挑戦する。