フェラーリのエンブレムは、なぜ「馬」なのか? 車ブランドに多い動物ロゴ。意外と知らない由来を探る
海外の自動車ブランドのエンブレムには、動物をモチーフとしたものが少なくない。なかでも、最も有名なのは「馬」をモチーフとしたエンブレムではないだろうか。ポルシェ、フェラーリ、そしてフォード・マスタング。ポルシェとフェラーリの馬はとてもよく似ているが、実はマスタングにもフェラーリとの関係を示唆する俗説があるのだ。 【写真集】ポルシェ、ランボルギーニ、アルファロメオも! 車ブランドが動物モチーフをエンブレムに選んだ驚きの理由 ここでは馬のエンブレムの歴史と、意外なつながりついて紹介しよう。
フェラーリは「伝説的パイロットのパーソナルマーク」
フェラーリのエンブレムに描かれる黒い馬は、第一次世界大戦で活躍したイタリア空軍の伝説的パイロット、フランチェスコ・バラッカ伯爵のパーソナルマークが由来だ。 バラッカ伯爵はすべての愛機に黒い馬の紋章を描いていたと言われているが、なぜ黒い馬をパーソナルマークとしていたのだろうか。 これには諸説あり、彼がシュトゥットガルトのパイロットを追撃したからとする説や、イタリアのピエモンテとフランス一帯を治めていたサヴォイア公爵が好んだ旗のデザインだとする説。単に彼の生家にいた馬を思い出してのものだったとする説もある。 このパーソナルマークがフェラーリに受け継がれたのは、バラッカ伯爵が追撃されて亡くなった5年後、1923年のことだ。 この年、フェラーリの創業者であるエンツォ・フェラーリは、イタリアのラヴェンナにあるサヴィオ・サーキットで行われたレースで初めての優勝を飾る。そして、その祝勝パーティーで出会ったのがバラッカ伯爵の両親だった。 エンツォとバラッカ家の親交が深まる中で、バラッカ伯爵の母から、フェラーリの幸運を祈り、レーシングカーにパーソナルマークを付けることを提案したとされている。
マスタングは「荒野を全速力で走る野生馬」だが…
米国を代表するスペシャリティーカー、フォード マスタング。マスタングは「野生馬」を意味し、デビュー以来一貫して全速力で疾走する馬「ギャロッピング・ホース」のモチーフが使われてきた。 デザインしたのは、アーティストであるフィル・クラーク。当初は馬のアイコンに赤・白・青のカラーが重ねられることもあったが、現在はシンプルなデザインとなっている。 ではなぜ、車名に「マスタング」が選ばれたのか。これには、第二次世界大戦で活躍した戦闘機「North American P-51 Mustang」が由来だとする説や、馬好きだったフォードのスタッフが考案したという説、また「野生馬は広大なアメリカの大地を感じさせるアメリカらしい存在だったから」という説などがある。 そしてもう一つ有名な俗説がある。 フォードは1960年代にフェラーリの買収を試みたが、エンツォ・フェラーリに拒否され失敗に終わった。そして、その翌年に生まれたのがマスタングだった。当時もエンブレムが似ていると話題になったようだが、真相は定かではない。