「2歳半までに虫歯菌に感染しなければ生涯虫歯にならない」?? 番組に異論→日テレ「年齢の区切りが強調されすぎていた」
日本口腔衛生学会の声明との矛盾が指摘される
番組が放送されると、Xでは、一般社団法人日本口腔衛生学会が23年8月に発表した声明を踏まえ、この情報が誤りではないかとする指摘が相次いだ。 日本口腔衛生学会の声明は、親と子の食器の共有を避けることで虫歯予防ができるとの情報が広まっているとして、この科学的根拠は必ずしも強くないことを発信するものだ。理由として、一般的に食器の共有が始まる離乳食の開始時期以前、生後4か月に親の口腔細菌の伝播が確認された研究があることや、虫歯の原因菌はミュータンスレンサ球菌だけではないことなどを挙げている。 生後4か月には口腔細菌の伝播が確認されたとすると、番組での1歳半から2歳半の間にミュータンスレンサ球菌に感染するとの説明とは異なるのではないか――。さらに、この時期にミュータンスレンサ球菌に感染しなければ生涯虫歯にならないとの説明は、ほかにも虫歯の原因菌があるとの説明と矛盾するのではないか、Xではこうした指摘が寄せられた。
日本口腔衛生学会の見解は
実際、番組で放送された情報についての日本口腔衛生学会の見解はどうか。 「虫歯菌(ミュータンスレンサ球菌)は、1歳半から2歳半頃までの間に感染する」との番組の説明について、6月6日にJ-CASTニュースの取材に応じた日本口腔衛生学会の担当者は、次のように指摘した。 「虫歯菌はこの期間に口の中に定着する(住みつく)と言われていますが、それよりも早い時期に感染している(口の中に入ってくる)可能性があります」 番組では親子間のキスについても触れているが、二川教授が感染の主な原因として挙げたのは、離乳食の口移しやフーフーと冷ますときの唾液の飛散だ。こうした原因についても、離乳食の口移しなどで感染する場合があるとしつつ、「赤ちゃんが親の腕に抱かれていて、それで話しかけると唾液が飛ぶこともあるでしょう」とし、離乳食が始まる以前に感染する可能性を示した。 さらに、「この十数年で科学的な常識になりつつあること」として、虫歯の原因菌がミュータンスレンサ球菌だけではないことも挙げる。 「そもそも口の中には数多くの種類の菌がおり、ミュータンス菌以外にもむし歯の原因になる菌がいます」