クルーグマン氏も「先送り」を提言 来年4月の消費増税はどうなる?
2017年4月の消費税率引き上げを控え、政府の動きが慌ただしくなってきました。政府は3月から5月にかけて複数回にわたり「国際経済金融分析会合」という会合を開催する予定。 初回はノーベル経済学賞の受賞者で、コロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ氏を招致して世界経済ならびに日本経済の現状を議論しました。同教授は世界経済の先行きに慎重な見方を示したうえで「現在のタイミングでは消費増税を引き上げる時期ではない」と提言。会合後に同教授は「首相は(消費増税先送り)恐らく、確実に検討するだろう」と発言しました。こうした動きを受けて金融市場では早くも消費増税先送りの観測が高まっています。 また、第3回目の会合では著名経済学者でプリンストン大学名誉教授のポール・クルーグマン氏を招致。同教授も「消費増税を延期した上で、アベノミクスの第2の矢である財政出動をもっと積極的に発動すべきだ」として消費増税の先送りを提言しました。なお、同教授は14年秋の消費増税先送り決定の際にも、消費増税先送りを助言した経緯があるので重要な意味がありそうです。
消費増税先送りの可能性は?
今回は消費増税があった2年前から、日本経済がどのように変化したのか点検した上で2017年4月に予定されている消費増税が先送りされる可能性について考えてみたいと思います。 まず、消費増税後の日本経済を俯瞰すると、個人消費の不振が深刻で、それを補うと期待されていた輸出や企業の設備投資が精彩を欠いているため、成長が足踏みしています。 実質国内総生産(GDP)成長率は、消費増税後の7四半期のうち4四半期がマイナス成長となっており、加えてこの1-3月期もマイナス成長に陥る可能性が日増しに高まっています。それが発表される5月18日には日本経済の苦境が話題になっているでしょう。なお、海外では一般的にGDPが2四半期連続でマイナス成長を記録すると「景気後退」とみなされます。日本経済は10-12月期がマイナス成長だったので、1-3月期がマイナス成長になると「景気後退」になるわけです。それは1年後の消費増税に黄色信号が灯っていることを意味します。