北朝鮮の「人工衛星打ち上げ失敗」によって明らかになった金正恩の「真の目的」
新たなロケットエンジン開発のメリットに注目
くり返しになるが前述の拙稿(金正恩が軍事衛星を打ち上げ続ける「真の理由」...北朝鮮に訪れている「武器輸出特需」の正体とは)でも触れたように、北朝鮮が巨額を投資して偵察衛星を開発し、それを仮に年に数基打ち上げたとしても、今の北朝鮮の兵器体系からすると、それは宝の持ち腐れとなりかねない。 それならば、いざ北朝鮮が米国から攻撃を受けた場合に備え、その反撃のため必要な情報をロシアや中国から得られるよう軍事協定を結ぶ努力をした方が、よほど費用対効果に優る。いや、すでにそのような秘密協定があるのかも知れない。 今の北朝鮮にとって、自国の偵察衛星は、マスト(必ず必要)ではなくベター(あればより良い)に過ぎない一方で、より安いコストで量産し、かつ運用できる性能の優れた弾道ミサイルやロケットは、自国の防衛や経済的繁栄のためにマストだということなのであろう。 今回北朝鮮が衛星を打ち上げたロケットは、新たにロシアから提供された技術によって開発した「今までとは異なる燃料を使用するエンジンを搭載していた」と報じられているが、それが事実ならば、このエンジンを使用することによって「今後ロシアから安定した弾道ミサイルやロケット用燃料の提供が受けることができる」など、このロケットエンジンの開発が、北朝鮮にとって何か大きなメリットが生じる要素があるに違いない。 今後の動向に注目したい。 ・・・・・ 【もっと読む】いまや宇宙空間は、米中ロ3大国の「スターウォーズ」開戦前夜!
鈴木 衛士(元航空自衛隊情報幹部)