安倍晋三元首相を失い「自滅」した自民党 納得いく説明なく…すべてが嘘偽りに聞こえる岸田首相の「憲法改正」
【岩田温 日本の選択】 永田町に行くと、「解散総選挙はいつか」という話題で、国会議員が終始している。衆院議員にとって、解散とは闘いであり、人生の総決算でもある。敗れればすべてがなくなる。昨日まで、「いつになれば大臣になれるか」と語っていた人々がすべてを失う。国民の審判、それが総選挙である。1つ誤れば無残の〝ニート〟になる。全存在がかかった戦なのだ。 【写真】銃撃された安倍晋三元首相が最後に握っていたマイク。持ち手の部分などに傷が しかしながら、冷静に考えてみれば、自民党はあまりに驕(おご)り高ぶっていなかっただろうか。 派閥を利用した裏金づくり。一般社会では考えられないような現象である。政治に金がかかるのは理解ができる。金のかからない政治など嘘偽りだ。しかし、やり方があまりに汚すぎる。この汚さは常軌を逸している。国民を愚弄するのも大概にするがいい。 すべてはあの日から始まった。 安倍晋三元首相が暗殺された日(2022年7月8日)だ。左翼ははしゃぎ、保守派は泣いた。安倍氏こそが「日本の羅針盤」だった。安倍氏を失った後の自民党は、すべてがおかしくなっていった。 岸田文雄首相がどれだけ「憲法改正」を叫ぼうと国民の耳には届かない。嘘偽りに聞こえるからだ。政治生命をかけてでも、集団的自衛権の一部行使を可能にした安倍氏との差は明らかである。真剣の度合いがまるで異なるのだ。 憲法を改正するならば、首相自らが国民にしっかりと訴えるべきだ。その必要性は明らかでありながら、岸田首相の口から、納得のいく説明がない。本気で憲法改正に取り組むのか、理解ができない。言葉に力がないのだ。すべてが嘘偽りに聞こえる。 LGBT理解増進法が昨年6月、自民党主導で成立した。ラーム・エマニュエル駐日米大使によるSNSなどでの「内政干渉」的な発信が注目された。まさか、自民党がこのような〝愚かな法案〟を通すとは誰も信じなかった。だが、自民党がこれを通した。 政治に詳しい保守派の人々は「安倍氏の恩恵を受けていた清和政策研究会(安倍派)が反対の声を上げる」と信じていた。だが、反対の声は上がらなかった。唯々諾々とエマニュエル氏に近い主張が是認された。 LGBTの当事者に聞いても、何が必要だったのか訳の分からない法律である。保守派の多くは訝(いぶか)しんだ。何のための法律なのか。日本の国益に資するのか。